date: 2010年05月17日

subject: 盛夏の茶席のきものをつくりたい(その1)

from: 植田伊津子



今年の春は肌寒い日々が続いていますね。いつものこの時期でしたら、Tシャツでもよさそうなのに、今年は上着が手放せません。きものにしてもゴールデンウィークを過ぎたら「暑い暑い」と言って単衣を着はじめますが、今年はいまだ袷にも袖を通しています。
きちんときものの歳時記どおりの温度で過ごせる年が少なくなっているだけに、今年の涼しさが際立ちますね。どうしたのでしょうか。

さて、前回の佐藤さんの足袋の写真。一瞬「わたくしの足袋じゃなかろうか?」と思いましたよ。

わたくしの場合は左足の親指にまず穴が空いて、かかと、脇などがほころびてきます。だいたい足袋は12、3足ほどのストックを日常使いにしていて、繕っている足袋はそのうちの半分ぐらい。それらはお茶のお稽古に用いています。

お茶のシーンでは足袋を酷使しますから、佐藤さんと同様、少し前までは茶会のスタッフなどを担当したら、1日で親指部分が薄くなっていました。
けれど、ここしばらくは穴の空く間隔が長くなったような気がします。

わたくしの場合、正座のときに左足を下にするクセで、畳に当たる左親指の部分が擦り切れていたのですが、頻繁に右足と左足を入れ替えるよう意識しはじめました。
そして親指の爪の研ぎ方。指に添うかたちにヤスリをかけて、親指の先がなるべく丸くなるようにします。結構、コレ重要です。

それと洗濯では、力任せにゴシゴシとこすらないために、前晩から濃いめの洗濯液につけ置きするよう気をつけています。力が余っているわたくしは、つい足袋を息子の運動ソックスみたく洗っていたのですが、それを改めたのです。これだけで繕う回数がずいぶん減りましたよ。

ツギのやり方は、わたくしは当て布を使いません。
木綿のカタン糸を二本どりにして、穴が空いたところに経糸をつくり、その次に緯糸を編むようにして針を動かして、その部分に「布地」をつくっていく感じの方法です。時間はかかりますが、当て布をするよりきれいに仕上がるんですね。


さて今日は、盛夏のきもののお話。「こんな感じのものが欲しいのだけれど……」という相談が寄せられました。

《7月》
長襦袢→暗い感じの色(青系)でかもめを飛ばす。
きもの→白系の明るい感じの色目で波と雲を配置。
※2枚重ねると海の景色ができるもの。
※帯は手持ちのもので、楓の葉の模様(白系)を合わせる予定です。
《8月》
長襦袢→白系の地色にして秋の虫を描いたもの。
きもの→黒系の暗い感じの色目。模様は花が少なめの秋草。
※重ねると秋の野の景色に。秋草は琳派風がいいのかなと思ったりしています。
※帯は手持ちのもので、花の多い秋草の白系統を合わせたいです。

どちらとも、一応、訪問着ではなく付下ぐらいを考えていて、一つ紋を付けたほうがよいか、付けるとしたらどんな紋にするかを考え中です。

こういった着物と長襦袢のセットが欲しいのですが、「探すより誂えるほうが早いのかな」「そろそろ誂えも試してみたい」とも思ったり……。けれど、誂えのお値段をはじめ、どこに頼めばいいのかが分からなくて困っています。
また私の着物の場合、基本は茶席で使えることなのですが、根本的にこれはそういうシーンに使っても大丈夫なのかな? というのが疑問なのです。

これらを使うのは、
・それほど改まらない茶事の客側
・大寄せ茶会や気軽な茶事の亭主側
・少し改まった大寄せの茶会の客側
というシーンで着用することが多いと思われます。

地域としては全国区対応がのぞましく、とくに京都でも大丈夫かな、という点も大切です。
なお私は現在36歳で、盛夏の着物は必要ですが出番が少ないので、いったん着物をつくったら、それを90代まで着続けたいと考えています。

生地については一応絽を考えています。ただ絽といっても色々あるみたいですし、地紋があるなら全面的に模様を描いてもらわなくても、色無地で似たようなものができるのかな、と想像いたします。
盛夏の着物、しかも茶席のきものについて情報が少なくて判断をしかねています。ご意見よろしくお願いいたします。


なるほど、よくわかりました。
ちょっと長いご質問なので、答えも長くなりそうですから、本件に関しては明日もまたサイトを更新します(続く)。

date: 2010年05月13日

subject: 裾がめくれる問題

from: 佐藤文絵



こんばんは。ものすごーく間があいてしまいごめんなさい。植田さん、樺澤さん、みなさまいかがお過ごしでしょう。
ここ数日また寒さがやってきていますが(農作物が心配です)、気候のよいこの季節は催しも多いし、いろんなところへ出掛けたくなります。はーい。私はあちこちせっせと出歩いております。

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先週は仙洞御所と修学院離宮に。橋の上の藤棚がほぼ満開。しとやかに咲いていました。修学院離宮を訪ねた朝は生憎の、いえ折良くも雨。1時間半の参観を終えると、緑したたる深い森を長時間歩いた気分でした。


さて、お茶に色半襟はありやなしや、のお話。
私の感覚はほぼ樺澤さんと同じで、自分自身は白ないしほぼ白のごく淡い色までと思っています。「お稽古での装いは、基本的には教えてくださる先生に準ずる」というのも同じように思います。
ただし絶対的に色半襟がダメ、とは思わないです。清潔感があって、その人らしさ、その人にとってのお茶らしさが出ている着こなしなら、アリではないでしょうか。


こんなご質問もいただきました。

袷のとき後ろの裾のふきの部分がめくれて見える状態になることが気になっています。いつもではないのですが、後姿が気になって振り返ってチェックすることがしばしばあり、自信を持って歩きたいと願っています。どうぞ知恵をお貸しください。


うんうん。まったく同感。
裾がめくれるのは、いつもというわけではなく、私の場合は特定のきものだけがめくれます。具体的にいうと、まずは真綿紬の袷のきもの。ふと振り返って足元をみると、よくめくれてます。御召も多少めくれます。どういうのがめくれやすいのか、その共通性に確信が持てないのですが、いずれにしても柔らかものはめくれたことがありません。うーん。なんなんでしょ。
余談だけど、もとは洋服デザイナーで着物のデザインも手がけるある方は、どうせめくれるのならと、ちょうど裾がめくれる場所(八掛)に、柄をつけておいででした。ぺろんとめくれたらそこに柄がみえるのです。面白いですよね。

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ある日の後姿。右側が私です。これも真綿紬だけど、裾のめくれは気になったことのない一枚。不思議です。しかしこうしてみると、私は隣の友人に比べてだいぶ大また歩き。とほほ。


ご質問にたいして、植田さんがこんなアドバイスを寄せてくださいました。

植田さん wrote:
後ろの裾がめくれ上がる件ですが、わたくしの経験では裾すぼまりの程度が激しいと、めくれ上がる傾向にあるようです。
きものは裾すぼまりに着付けるのがうつくしい姿。ただし歩幅分+アルファのゆとりがないと、歩くときのゆとりがありませんから、きものはゆとりを出そうとして裾の周囲を広げようとするのです。めくり上がったら、周囲は若干広がりますよね。裾がめくり上がるのはそのせいではないかと思います。
落ち感のあるやわらかものでしたら、そうなったとしても生地の重みと生地のすべりがよいせいでストンと直ってくれますけれど、ハリがある紬などはすべりが悪いですからめくり上がったままとなります。

対処法としては、今よりも少しだけ裾すぼまりの角度をやわらげるとよいと思います。それでもめくれ上がるようでしたら、裾すぼまりの角度をゆるめた上で、少しだけ着丈を短めに着付けてみてください。
これでたぶんお悩みは解消するような気がいたします。


樺澤さんも同じく〈裾つぼまり着付け〉、そして〈歩き方〉も肝心、とのこと。

樺澤さん wrote:
「きものの筒のなかに足の歩幅を納めればよい!」といわれた記憶があります。足だけを前に出すのでなく、骨盤から進むようにして、歩幅をできるだけ筒のなかにおさめるように工夫して歩いてみたら大丈夫でした。


めくれる=きもののせいにしていた私は反省しきり。着付けと歩き方、めくれが気になったときには気をつけたいを思います。


ところで、私は足袋についてひとつ悩みをもっています。
足袋の傷む場所は、そのひとの足のかたちによって異なると思いますが、私の場合はなんといっても親指の爪の先。お茶の稽古で立ったり座ったり(正座)を繰り返すことがダメージを与えるんですよね。
お茶を始めるまでは、足袋はほとんど傷まなかったのですが、しいていえば鼻緒の当たる部分が擦り切れたことがありました。ただそれはかなり長く履いての話。しかし今では茶会のお手伝いなど一日しただけですぐにほころび始めるのです。親指の爪はしっかり切るようにしているのだけど……。

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局地的に傷んでしまうのがかなしい。これで捨てたらもったいないオバケが出そうです。


そんな話になったとき、稽古場の先輩から「親指を畳に擦らないように心がければだいぶ違うのでは」との助言を得ました。親指を擦らぬよう、ただいま実践中です。でも親指を擦らないようにすると、動作が大きく、かつ「カクカク」とした感じになってしまって、まだ上手にできません。

植田さん、樺澤さんは何か気をつけておられる点などありますか?
また、足袋の繕いはどんなふうされているのでしょう。植田さんは上手に繕ってらっしゃるご様子(以前ブログ「一より習ひ」に紹介されていたのを拝読しました)。
やはり裏に当て布をしてチクチク補強するのかな。すでに穴があいてしまったものなら、袷になっている間に生地を入れこんでやってみてもいいかもしれませんよね?

date: 2010年05月01日

subject: 銀座で打ち合わせ→お茶のお稽古の1日

from: 樺澤貴子



皆さまお久しぶりです。GWに入って、爽やかな風に包まれておりますが、いかがお過ごしでしょうか。今日は、樺澤のとある1日の装いをご紹介させていただきます。

この日のスケジュールは下記のとおり。
1.銀座での打ち合わせ1件目は、和装のウエディング関係
2.打ち合わせ2件目は、帝国ホテル内のきものとは無関係のブランドにて
3.夜からはお茶の稽古。しかも七事式での亭主役という重責(涙)

このように目的が複数あってで、お会いする方も様々な立場という場合ほどコーディネートに窮してしまします。しかも、朝から雨模様。さて、私の選んだ結論とは・・・・・・。

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仕服柄の刺繍をほどこした付け下げ小紋に、オリエンタルな柄の洒落袋を合わせました。夜の稽古の役割を考えるとくだけすぎることができず、かといってザ・古典にはしたくなかったので、帯でモダンな表情を添えてみました。


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雨ゴートはワンパターンですがお気に入りのパラソル柄。足元は2件目の打ち合わせが帝国ホテルということもあり、さすがに雨下駄はカジュアルすぎると思って小松屋さんの雨草履に。打ち合わせ相手からは「そのお草履、宇宙っぽいですね」と新鮮なコメント(笑)


お茶の稽古のお話が出たところで、先日いただいた質問をご紹介します。

ずっと前から、とうに中断している(初心者のまま)茶道をもう一度やりたいと思い、ある先生のところへ見学に行きました。そうしたら、その先生が、色半襟をしていてびっくりしました。お稽古の時はいいのでしょうか? また、お茶会でも、刺繍があっても白一色位ならいいのでしょうか? 教えていただけるとうれしいです。


私の考えは、やはり白半衿が基本かと思います。これは、足袋もしかり。最近では、白半衿感覚で使える、極淡いグレーやピンク、クリーム色などもありますので、お稽古の場面でしたら、白の延長として使える色半衿はありかと思います。

刺繍半衿についてですが、私はお茶の稽古を始めて間もないころ、初釜に白地に白と淡いピンクの糸で刺繍をほどこした半衿をしていったことがあります。前述の事から考えると白半衿の延長の刺繍半衿だったのですが、どうも場にそぐわなかったような感覚を覚えました。今年の初釜には植田さんのアドバイスもあって、伊達衿をつけましたが、これは違和感がありませんでした。思うに刺繍半衿が「華やか」なら、伊達衿は「晴れやか」。お茶の場面において、「晴れやか」はありだけど、「華やか」は場にそぐわないというのが、私の体験による答えです。

お稽古での装いは、基本的には教えてくださる先生に準ずるというのが、教授される立場としての謙虚な姿勢だと思います。先生がカジュアルな場合には、一般的に考えて目上の方に対して失礼のない装いのルールを大切にしたらよろしいのではないでしょうか。植田さんや佐藤さんはいかがですか?


さて、おまけのショットは先日「一衣舎春展」へ伺った際の装いです。この日は格子柄の御召に、丹波布の型絵染めの帯を合わせました。どちらも、内田みち子さんのきもの展で求めたもの。その内田さんの「十六夜キモノ展」が5月7日(金)から始まります。もちろん私も伺う予定。楽しいきものに出会えますように!皆さまご興味がありましたらぜひお出かけくださいませ。

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十六夜キモノ展

会期 2010年5月7日(金)〜9日(日)
時間 11時〜18時(最終日は16時まで)
会場 ルーサイトギャラリー2階
住所 台東区柳橋1-28-8
電話 03-5833-0936
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