date: 2010年07月16日

subject: 涼を映す、夏ごろも

from: 樺澤貴子



関東はようやく梅雨明けを迎えます。皆様、すっかりご無沙汰してしまい、すみません。このところ、休みなく働き詰めで、お稽古さえ行けず、当然きものを着ることもなく・・・。今日はやっと話題になることが見つかったので、暑中お見舞い代わりに一筆。

実はつい先日、京都へ行ってきました。取材相手と同行した一泊の出張だったため、ロケバスの中から、祇園祭の準備に沸き立つ京都の町並みを眺めるのが精一杯。それでも、一日目のロケが終了した夜だけは、皆でゆっくりとご飯が食べられると目論み、これを利用しない手はない!と思いました。しばらくきものを着ていないので、「夏きものもいいなぁ」と思いながらも、取材相手の方の希望で床を予約したため、川風を感じながらの食事であれば、かえって浴衣の開放的な気分が楽しめると判断。どうせ浴衣にするなら、取材相手やスタッフの分も用意して、皆で楽しみたいと考えました。

どんな浴衣にしようかあれこれ迷った挙句、床でのお食事なので水辺のモチーフのものをチョイスしました。

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左:白地の綿絽に千鳥のシルエットを大胆に配し、小さな千鳥が軽やかに飛び交う図柄。ミントグリーンのイカット調の半幅帯を合わせて。右:濃紺地の綿絽に流水と団扇を染めた一枚。団扇のなかに描かれた萩や桔梗などの秋草が涼やかな夏の風情を映します。半幅帯は木綿地の独鈷柄。浴衣はどちらも竺仙のものです。

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カメラマン君には、きゃっちりとした印象の格子柄を。一人で着てもらうために、帯は兵児帯にしました。浴衣、帯ともに銀座伊勢由のものです。


お着替えした様子は、こんな感じ。お運びの方に写真をとっていただいたので、ブレブレでなんだかわかりませんが・・・(笑)。
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手軽に浴衣を纏っただけなのに、何ともいえない心のゆとりが生まれました。大きな気分転換をもたらしてくれた、きもの(今回は浴衣でしたが)って、やっぱり私にとって大切な存在なのだと改めて気づかされたひとときでした。

そして、ご一緒にお食事を楽しんだ京都のマダムは、このとおり、とても素敵な夏きものの装い。夜のお食事会ということで、白地のきものにパステルピンクの帯を合わせた、ふわりと優しさが薫るコーディネートでした。

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帯は抽象的に意匠化された花火の柄。そして、半衿にはお茶目にもビールジョッキと枝豆が染められていました!


来週こそは、お茶の稽古できものを着るぞ!と小さく決意した夜でした。植田さんや佐藤さんは、どんな夏ごろもでお過ごしですか?

date: 2010年06月29日

subject: ある日の装い

from: 佐藤文絵



梅雨空がつづき、きものに袖を通すのが億劫になってしまう今日このごろです。ここ数日京都はとても気温が上がって……昨日なんて33℃。じめじめ、むしむし……。不快指数はなかなかのもの。でもこの湿度がきめこまかい肌をはぐくんでくれるのですよね。そう自分に言い聞かせてます。

ところでまたまた間が空いてしまいました。ごめんなさい。私はおふたりのように超多忙ということは決してないのですけど、サッカーなどに気をとられております。ああ、そしてまもなく決戦です!


さて、1週間ほど前の話になりますが、お茶の家元を訪ねる機会がありました。茶会などの行事ではなく、茶室や露地を見学させていただくことが訪問の目的。お茶を学ぶ人はもちろんだけど、建築に関わる人や興味を持っている人などと一緒に見学することになるだろうときいていましたので、堅すぎない、ほどよくきちんとした装いがちょうどよさそう。そんなふうに思っていました。

当日は小雨がぱらつき、いつざーっと降っても不思議はない空模様。露地でどしゃぶりに見舞われたらどうなるのかしら。いっそ洋服かとも思ったけれど、やはりそこにはきもので居たい。なるようになるだろうと無地的な絽ちりめんの小紋に絽の染帯を締めて伺うことにしました。
結果、雨が降ることはなく、むしろ気温がどんどん上がって、汗をぬぐいつつの訪問になりました。ご一緒した方たちの装いはそれぞれで、きものを着ているのは私と友人の二人だけだったくらいだし、特に気後れするようなことはありませんでしたが、振り返るとやはり紋付で伺うべき場所だったと思いました。そういう心もちだったんです。気づくのがいつも遅いですね(笑)。

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しかしこういう雨の心配な季節こそ、洗えるきもの。樺澤さんの裾濃の色無地はすごくすてきで、鬼に金棒だわ。私も洗える単衣のきものをつくろうと、思いを新たにしました。


その日は午後からお茶のお稽古だったので、まあーよく汗をかきました。ちょうどよく翌日は梅雨の晴れ間。メンテナンスにいそしみましたよ。

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青空&洗濯物! きもちいい〜。


まずはきものの汗抜き。昨年紹介させていただいた「お手入れ講座 〜汗抜き」、みなさま覚えてますか?
たっぷり汗を吸った単衣のきものはそのままほっておくとキケン。汗は早めのケアが肝要です。私もビデオを観返してやってみました。とにかく汗をタオルへ移していく感じです。乾いたタオルをたくさん用意して、ケチらずたくさん使ってくださいね。

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こちらの絽ちりめんは汗抜きをすると、縮んでごわついた感触になります。アイロンをかければさらりとした感触に元通り。
ところでこの手に装着するタイプのミニアイロン台、補助的に使うとなかなか便利で重宝してます。


そして帯のほうもかなり汗を吸い込みますね。
とくに帯枕と背中の間のところが、しっとり、シワシワ。こういうのがシミになるんですよね。前にアンティーク市で芸妓さんの帯が出ていたのですが、夏物はひどいことになってました。夏の帯って残念ながらある程度消耗品なのでしょうか。帯の汗抜きって、プロのメニューにもあるのかしら。じつはこの帯、少しだけ汗抜きにチャレンジしてみました。気休め程度かもしれないけれど。

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帯枕の跡がくっきり。こうならないために、あしべ織汗取りなどをちゃんと着ておかないといけませんね。


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こちらはオマケ。真ん中のぽつんとした小さなシミは飛ばしてしまった抹茶です。これは触らないほうがいいかなあとぐっとガマン。プロにおまかせしようと思ってます。



さあ、もう数日で盛夏ですねー。

date: 2010年06月15日

subject: 単衣の時期のお悩みあれこれ

from: 植田伊津子



ずいぶん時間があいてしまいました。ごめんなさい(>_<)。
来月に東京をしばらく留守にするため、あちこちの段取りをつけなくてはいけず、ほうぼうでお仕事に励んでおりました。もう秋の予定が動きはじめています。これから夏を迎えるというのに、年末〜来年にかけての動きもちらほら。時間が現実と合っていないからとまどいますね。

さて、そうはいいつつも、この前の週末(6月13日)は根津美術館というところで4流派合同のお茶会があり、わたくしはお客さまとしてうかがっていました。わたくしの師が、そのうちの一席を担当されたのです。

たまたま、宗偏流を学んでいるわたくしの又従兄弟、みーちゃんがその茶会の他の席で、スタッフとして参加することになりました。彼女は、昨年から茶道を習いはじめたきもの初心者です。
みーちゃんのお母さんが心配して、この時期の茶会のきものの取り合わせについて相談の電話をわたくしにかけてきました。
「お茶会のスタッフなら単衣の無地の一つ紋付きでいい? 帯はどんなものを合わせたらいいのかしら?」

また、とある男性のお茶人さんからもこんな質問が寄せられました。
「この時期のお茶会にうかがうときは、単衣のきものなのはわかるのですが、下の袴はふつうの袷用ですか? それとも夏用の絽袴を着用するのでしょうか?」

本ブログの読者であるkayoさんから、こんなメールもいただいていました。
「季節は6月上旬の想定です。単衣のきものに、単の帯は合わせられるのでしょうか? 単衣のきものに単の帯を合わせた場合、襦袢は絽にするとしたら、半襟や小物は袷用?それとも夏用を用いますか?」

さまざまなお悩みがあるようですね。

【単衣の時期の茶会のきもの】
みーちゃん(茶会のスタッフとして)とわたくし(お客さまとして)がうかがった、6月13日の茶会の場合。昨年わたくしは単衣の時期の帯について、こんなことを書いていました。

ふつう単衣のきものに合わせる帯は以下のようにいわれています。
《春単衣》
6月前半→袷のきものに合わせる帯を用いる
6月後半→夏のきものに合わせる帯を用いる

《秋単衣》
9月前半→夏のきものに合わせる帯を用いる
9月後半→袷のきものに合わせる帯を用いる


上記のセオリーは茶会のきものの場合でも同様で、今回6月13日におこなわれるケースなら、ちょうど6月の中旬ですから、袷用と夏用の帯のどちらでもよさそうに思いました。
ただ茶会のきものの場合、一般的に一年を通して、なごや帯よりも格調の高い袋帯を好む傾向があります。とくに紋付きのきものには袋帯を締めるケースが多いんですね。

6月の中旬、単衣に締める袷用の袋帯なら、いかにも冬といった重厚感のあるものよりも、できるだけ軽快な印象を人に与えるもののほうが映りがよさそう。といっても洒落袋帯よりは文様が伝統的なニュアンスで、少しカタメの趣きを選んだほうが、茶会の場合は落ち着くでしょうね。
とくに根津美術館のような格式のある場所、スタッフとしてかかわるのなら、少々控えめでかっちり気味の着こなしをしたほうが安全のような気がします。

13日という日にちならば、夏の袋帯でもよいですね。でも、夏用の袋帯をお持ちの方は少ないもの。絽や紗の伝統的な柄の袋帯というものは、お茶人さんでもさほど使用しないのが現状です。

ですから、叔母には以下のように説明しました。
「根津美術館の茶会の若手スタッフの立場なら、無地の一つ紋付きの単衣のきものなら間違いがなく、合わせる帯は夏用の伝統柄の袋帯を持っているなら、それを締めるのがベター。
それがなければ、袷用の袋帯の中からなるべく涼やかに見えそうな薄手のものを選んだほうがいいわ。
もしくは、無地以外の『綴れ』の帯でもいいわね。綴れは単衣のきものと好相性で、この時期のお茶会によく使われるの。
長襦袢も単衣で柄が騒がしくないもの。半衿は楊柳か絽縮緬、もしくはふつうの絽。併せて帯揚げも絽にしたほうがいいわね。帯締は夏用のレースを使わなくても可。夏用の袋帯は、一重のなごやの夏帯よりは重くなるから、かえってレースじゃないほうがおさまりがよかったりするの」
さて、お茶を嗜んでおられる読者の皆さんのご意見はいかがでしょうか。

※お客さまの立場としてうかがったわたくしの悩みも帯でした。
きものは淡紫色の上代御召に決めたのですが、帯の候補は3点。
まず、最初に取り出したのは紗の正倉院文様の袋帯。悪くないかな、と思ったのですが……。

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きものがやや眠い色目だったので、上に乗せてみると思いのほか地味。正倉院文様とはいうものの洒落袋に近いニュアンスなのがネックでした。


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写真右のお古のかわせみ柄が、2番目の候補。絽の織りなごや帯です。染め帯のように繊細に織られています。この日はお客さまの立場なので、スタッフよりは自由度の高い着こなしができるとはいえ、帯の完成度はともかく、柄がカジュアルだなあと感じました。お出かけ着に合わせるのなら、これでもいいんですけれどね。
ちなみに左もお下がりで、カサブランカ文様の絽の染めなごや。こちらは、まだ一度も締めたことがないうちに、着られる歳の賞味期限が切れたような気がします。


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玉子ベージュ地で紗の抽象草花文様の織りなごや帯(右)とすすき文様を織りだした絽つづれの帯(左)。もっと、カッと暑くならないと、黒地の帯は空気に馴染まないなーとため息が出ます。
他に無地の銀綴れや白地に白糸の夏袋帯も持っているのですが、無地きものに無地の帯を取り合わせるのは、至難のコーディネート。
結局今回は、消去法で玉子ベージュ地の紗のなごや帯を合わせました。わたくしには重めの夏の袋帯がないのを発見しました。



【男性の茶会のきもの 6月は袷の袴or絽袴?】
自信がなかったので、男性のベテランのお茶人さんや知り合いの製造卸さんたちにうかがったところ、以下のとおりでした。

「6月上旬ならば、袷用の袴でも違和感がありませんが、中旬以降は絽袴ですね。単衣用の薄手の袴(絽目がないもの)もありますが、絶対数が少なくなって、現在は別誂えとなる場合が多いようです。ですから、一般的には袷用と夏用の絽袴で一年をやりくりします。もしも羽織を使うなら、この時期の男性は絽か紗の羽織となります」


【kayoさんからのご質問】
「季節は6月上旬の想定です。単衣のきものに、単の帯は合わせられるのでしょうか? 単衣のきものに単の帯を合わせた場合、襦袢は絽にするとしたら、半襟や小物は袷用?それとも夏用を用いますか?」

「6月のおでかけなどには、単衣のきものに単の帯(織り八寸なごや帯)を合わせるのがいちばんしっくりきます。織り八寸なごやの代表的なものをひとつ挙げるならば博多帯ですね。織り八寸なごや(単帯)は、袷のきものにも締められますから重宝する存在として知られています。ただ、単帯の中でも、明るくて白っぽい色合いのほうが単衣の時期には映りがよいと思います。
6月の襦袢は、きもののルールでは単衣を用います。しかし、現実のわたくし自身は暑がりなので、5月下旬ぐらいから絽の襦袢も使います。5月までは絽の襦袢に塩瀬の半衿をつけたりもします。
6月からは、半衿と帯揚げは夏用となります。半衿は先ほども申し上げましたけれど、楊柳か絽縮緬、もしくは絽。帯揚げは絽縮緬か絽、紋紗などになります」

kayoさん、もう6月も中旬になってしまった頃に御返事をしてごめんなさい!でした。
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