date: 2010年04月26日

subject: 一衣舎春展・東京

from: 植田伊津子



皆さまお久しぶりです。われらは元気にしています。

さて、読者の方からのご質問があれば、それについてもオープンに考えていきたいと思いますけれど、これからしばらく、こちらのブログにわれら3人のきもの雑記をつれづれにアップしていくことになりました。

おそらく、ときどき、かなりの確率でマニアな話になるような気がします。いわば、われらの裏メールのやりとりをこちらの表舞台に出そうということなんですが……。

まずは、わたくし植田の週末。
恒例のお茶のお稽古日には、一衣舎さんの個展の初期頃につくった館山唐桟(たてやまとうざん。千葉県指定伝統的工芸品)の木綿のきものに袖を通しました。この時期になるとひんぱんに袖を通している定番ものです。

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わたくしはこのきものを勝手に「息吹」と名付けています。頬をすりすりしたくなるほどのやわらかな地合。アンティークのバテッィク帯(灯屋2)を合わせていました。

※アンティークモールにあった灯屋2銀座店が移転とのご案内をいただきました。銀座中央通りに引っ越しされるようです。今日4/26〜5/4まで、銀座店移転感謝セールで全品30〜50%引きですって。わたくしものぞこうっと。



しなやかな細い糸で織られていること、一衣舎さん独特の絹地の総裏仕立てが裾さばきをよくしてくれますので、木綿といえど木綿にあらずといった風合いです。ところで、木綿のきものについてよく尋ねられる質問があります。

「膝が出ませんか?」→「やっぱり出ちゃいますねー」
「裾さばきがよくないのでは?」→「そのとおり」
「使いにくいですか」→「木綿以上でも木綿以下でもなく木綿そのものですから、価格の安さ、自分で始末できる手入れのし易さなど……使われる方の『どうしても譲れない部分』が何かによって見方は違います。その方のお好みですね」

と、上記のような御返事をするのが多いわけですが、この一衣舎仕立ての館山唐桟は別物。
「植物染料で染めて手織りした後、砧で布を打ち、しなやかさを生み出します。手間もかかっていて、木綿とはいえないほどの光沢。……けれど、このぐらいの木綿ならば、紬と同レベルに使用しても遜色がなく、かなり役立つことは請け合いです。私はお稽古以外のお出かけにも使用しています。」と去年のブログにこう書きました。

さて、その一衣舎さんの東京・春展が27日からはじまりますね。昨年と同様の千歳烏山の寺町通りの妙壽寺さんで開催されます。
わたくしは、今から一衣舎さんのHPを見て、新作が楽しみでなりません。

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それにそれに、今年は「一衣舎流・お茶のきもの」を提案するとのこと。一筋縄ではいかない木村さんの気質ですから、どんな作品をアプローチされるのか、個人的にも興味深いです。

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2010年 一衣舍春展

会期 2010年4月27日(火)〜30日(金)
時間 11時〜18時(最終日は16時まで)
会場 本覺山 妙壽寺 鍋島客殿(区指定文化財)
   東京都世田谷区北烏山5-15-1
電話 03-3308-1251


※昨年わたくしがこちらの春展でこしらえたものに、王上布の長襦袢があります。丈夫な絹地の総裏をつけてもらい、臀部の負担に耐えられる仕立てをお願いしたのでした。昨年の後半、ずいぶんハードにこれを着続け、また自宅で洗濯も実行。快適なことこの上なしでした。
体温調節に優れた絹。それも自宅で洗える扱いやすい絹。そして丈夫な仕立て。それに出会えるのが一衣舎で扱う長襦袢地です。おそらく今年の春展にはこれら定番商品も並ぶでしょう。

date: 2010年05月01日

subject: 銀座で打ち合わせ→お茶のお稽古の1日

from: 樺澤貴子



皆さまお久しぶりです。GWに入って、爽やかな風に包まれておりますが、いかがお過ごしでしょうか。今日は、樺澤のとある1日の装いをご紹介させていただきます。

この日のスケジュールは下記のとおり。
1.銀座での打ち合わせ1件目は、和装のウエディング関係
2.打ち合わせ2件目は、帝国ホテル内のきものとは無関係のブランドにて
3.夜からはお茶の稽古。しかも七事式での亭主役という重責(涙)

このように目的が複数あってで、お会いする方も様々な立場という場合ほどコーディネートに窮してしまします。しかも、朝から雨模様。さて、私の選んだ結論とは・・・・・・。

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仕服柄の刺繍をほどこした付け下げ小紋に、オリエンタルな柄の洒落袋を合わせました。夜の稽古の役割を考えるとくだけすぎることができず、かといってザ・古典にはしたくなかったので、帯でモダンな表情を添えてみました。


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雨ゴートはワンパターンですがお気に入りのパラソル柄。足元は2件目の打ち合わせが帝国ホテルということもあり、さすがに雨下駄はカジュアルすぎると思って小松屋さんの雨草履に。打ち合わせ相手からは「そのお草履、宇宙っぽいですね」と新鮮なコメント(笑)


お茶の稽古のお話が出たところで、先日いただいた質問をご紹介します。

ずっと前から、とうに中断している(初心者のまま)茶道をもう一度やりたいと思い、ある先生のところへ見学に行きました。そうしたら、その先生が、色半襟をしていてびっくりしました。お稽古の時はいいのでしょうか? また、お茶会でも、刺繍があっても白一色位ならいいのでしょうか? 教えていただけるとうれしいです。


私の考えは、やはり白半衿が基本かと思います。これは、足袋もしかり。最近では、白半衿感覚で使える、極淡いグレーやピンク、クリーム色などもありますので、お稽古の場面でしたら、白の延長として使える色半衿はありかと思います。

刺繍半衿についてですが、私はお茶の稽古を始めて間もないころ、初釜に白地に白と淡いピンクの糸で刺繍をほどこした半衿をしていったことがあります。前述の事から考えると白半衿の延長の刺繍半衿だったのですが、どうも場にそぐわなかったような感覚を覚えました。今年の初釜には植田さんのアドバイスもあって、伊達衿をつけましたが、これは違和感がありませんでした。思うに刺繍半衿が「華やか」なら、伊達衿は「晴れやか」。お茶の場面において、「晴れやか」はありだけど、「華やか」は場にそぐわないというのが、私の体験による答えです。

お稽古での装いは、基本的には教えてくださる先生に準ずるというのが、教授される立場としての謙虚な姿勢だと思います。先生がカジュアルな場合には、一般的に考えて目上の方に対して失礼のない装いのルールを大切にしたらよろしいのではないでしょうか。植田さんや佐藤さんはいかがですか?


さて、おまけのショットは先日「一衣舎春展」へ伺った際の装いです。この日は格子柄の御召に、丹波布の型絵染めの帯を合わせました。どちらも、内田みち子さんのきもの展で求めたもの。その内田さんの「十六夜キモノ展」が5月7日(金)から始まります。もちろん私も伺う予定。楽しいきものに出会えますように!皆さまご興味がありましたらぜひお出かけくださいませ。

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十六夜キモノ展

会期 2010年5月7日(金)〜9日(日)
時間 11時〜18時(最終日は16時まで)
会場 ルーサイトギャラリー2階
住所 台東区柳橋1-28-8
電話 03-5833-0936

date: 2010年05月17日

subject: 盛夏の茶席のきものをつくりたい(その1)

from: 植田伊津子



今年の春は肌寒い日々が続いていますね。いつものこの時期でしたら、Tシャツでもよさそうなのに、今年は上着が手放せません。きものにしてもゴールデンウィークを過ぎたら「暑い暑い」と言って単衣を着はじめますが、今年はいまだ袷にも袖を通しています。
きちんときものの歳時記どおりの温度で過ごせる年が少なくなっているだけに、今年の涼しさが際立ちますね。どうしたのでしょうか。

さて、前回の佐藤さんの足袋の写真。一瞬「わたくしの足袋じゃなかろうか?」と思いましたよ。

わたくしの場合は左足の親指にまず穴が空いて、かかと、脇などがほころびてきます。だいたい足袋は12、3足ほどのストックを日常使いにしていて、繕っている足袋はそのうちの半分ぐらい。それらはお茶のお稽古に用いています。

お茶のシーンでは足袋を酷使しますから、佐藤さんと同様、少し前までは茶会のスタッフなどを担当したら、1日で親指部分が薄くなっていました。
けれど、ここしばらくは穴の空く間隔が長くなったような気がします。

わたくしの場合、正座のときに左足を下にするクセで、畳に当たる左親指の部分が擦り切れていたのですが、頻繁に右足と左足を入れ替えるよう意識しはじめました。
そして親指の爪の研ぎ方。指に添うかたちにヤスリをかけて、親指の先がなるべく丸くなるようにします。結構、コレ重要です。

それと洗濯では、力任せにゴシゴシとこすらないために、前晩から濃いめの洗濯液につけ置きするよう気をつけています。力が余っているわたくしは、つい足袋を息子の運動ソックスみたく洗っていたのですが、それを改めたのです。これだけで繕う回数がずいぶん減りましたよ。

ツギのやり方は、わたくしは当て布を使いません。
木綿のカタン糸を二本どりにして、穴が空いたところに経糸をつくり、その次に緯糸を編むようにして針を動かして、その部分に「布地」をつくっていく感じの方法です。時間はかかりますが、当て布をするよりきれいに仕上がるんですね。


さて今日は、盛夏のきもののお話。「こんな感じのものが欲しいのだけれど……」という相談が寄せられました。

《7月》
長襦袢→暗い感じの色(青系)でかもめを飛ばす。
きもの→白系の明るい感じの色目で波と雲を配置。
※2枚重ねると海の景色ができるもの。
※帯は手持ちのもので、楓の葉の模様(白系)を合わせる予定です。
《8月》
長襦袢→白系の地色にして秋の虫を描いたもの。
きもの→黒系の暗い感じの色目。模様は花が少なめの秋草。
※重ねると秋の野の景色に。秋草は琳派風がいいのかなと思ったりしています。
※帯は手持ちのもので、花の多い秋草の白系統を合わせたいです。

どちらとも、一応、訪問着ではなく付下ぐらいを考えていて、一つ紋を付けたほうがよいか、付けるとしたらどんな紋にするかを考え中です。

こういった着物と長襦袢のセットが欲しいのですが、「探すより誂えるほうが早いのかな」「そろそろ誂えも試してみたい」とも思ったり……。けれど、誂えのお値段をはじめ、どこに頼めばいいのかが分からなくて困っています。
また私の着物の場合、基本は茶席で使えることなのですが、根本的にこれはそういうシーンに使っても大丈夫なのかな? というのが疑問なのです。

これらを使うのは、
・それほど改まらない茶事の客側
・大寄せ茶会や気軽な茶事の亭主側
・少し改まった大寄せの茶会の客側
というシーンで着用することが多いと思われます。

地域としては全国区対応がのぞましく、とくに京都でも大丈夫かな、という点も大切です。
なお私は現在36歳で、盛夏の着物は必要ですが出番が少ないので、いったん着物をつくったら、それを90代まで着続けたいと考えています。

生地については一応絽を考えています。ただ絽といっても色々あるみたいですし、地紋があるなら全面的に模様を描いてもらわなくても、色無地で似たようなものができるのかな、と想像いたします。
盛夏の着物、しかも茶席のきものについて情報が少なくて判断をしかねています。ご意見よろしくお願いいたします。


なるほど、よくわかりました。
ちょっと長いご質問なので、答えも長くなりそうですから、本件に関しては明日もまたサイトを更新します(続く)。

date: 2010年05月18日

subject: 盛夏の茶席のきものをつくりたい(その2)

from: 植田伊津子



昨日のご質問の件。
「白っぽい地色に波と雲文様」「黒っぽい地色に花が少なめの秋草」のきものでしたね。
わたくしは夏のきものとして、どちらも素敵だなあと思いました。この質問者さんの考え方が興味深いのは、長襦袢ときものの模様、これらを一対としてとらえているところで、長襦袢+きものを重層的に描いて文様でひとつの『物語』をつくろうとしている点はたいへんおもしろいですし、こういう着こなしはじつに知的ですね。

〈絽・紗〉
さて、けれどわたくしが気になったのは、これを絽で表現しようとしているところです。絽のきものって思っているほど透けないんですよ。絽と紗の違いについては、昨年わたくしはこのように説明しています。

夏の柄物のきものは絽という生地でつくられることが多い点からすると、ご希望のきものは絽のチョイスがよさそうだと思うのですが、質問者さんが考える長襦袢の柄が透ける効果はかなりむずかしいかなと想像されますね。

では表地のきものを紗にすれば、下の長襦袢の柄は透けますが、透けて見えるということはすなわち目が粗い生地であるということとイコールですから、この紗という生地は、大胆な柄付けは可能でもデリケートで緻密な模様は表現しにくいかもしれません。

それでも、ご希望の柄を描いた紗のきものに長襦袢を重ねたと仮定してみます。
重ねたときに長襦袢の柄を浮かび上がらせるためには、長襦袢の柄が「くっきり」「はっきり」、そして「大きめ」に表現されていなければ、ぼやけてしまうんですよ。ということは、かんたんに言ってしまえば、「えっ、こんなどぎつい長襦袢?」と思われるぐらい強い調子の模様でなければいけないということなんですね。

〈お茶のシーンで使うとき〉
また、質問のなかで「これがお茶席で使えるかな……」という点も不安に感じておられました。
「白っぽい地色に波と雲文様」「黒っぽい地色に花が少なめの秋草」の柄のきものでしたら、お茶席に使って問題ありません。ふつうにアリです(全国区で使えるきものとなりましょうし、京都でももちろんOKです)。

・それほど改まらない茶事の客側
・大寄せ茶会や気軽な茶事の亭主側
・少し改まった大寄せの茶会の客側
どのシーンに使っても、差し支えないかと思います。

ただ、「海の景色」「秋草を重層的に表すもの」をつくるということになると、たとえば海の景色のほうを例にあげれば、濃色の地色にかもめが強く表現された長襦袢は、洒落物的なニュアンスが強くなり、お茶席のきものの感じからは少し離れるような気がするのです。
ネガ+ポジのように反対色の組み合わせで長襦袢ときものを組み合わせると、傍目には個性的な着こなしに映ると言ってよいでしょう。

うまくいえませんが、お茶のきものは「過ぎたるはなお及ばざるがごとし(物事の程度を越えた行き過ぎは、不足していることと同じで好ましくない)」的な面をあり、相手を立てたり、茶会の道具組や「一座の和」を尊重したりという気持ちを着るもので表す部分もあるように思うんですよ。

そういうことを考えると「長襦袢については再考されてもよいかな」、「こういうネガポジの組み合わせ方は、お茶とは別のシーンで楽しく着られるほうがよいかな」とわたくしは思いました。

〈お誂えについて〉
本当は質問者さんが一番懇意にしている呉服屋さんでおつくりになるのが間違いありません。というのも、それなら、こちらの懐具合もなんとなくわかっているでしょうし、あなたに合った色柄について、日頃の付き合いから一歩踏み込んだ助言してくれるだろうと思うからです。

「懇意にしているところがない……」という場合は、周りのきもののベテランさんたちに近隣の呉服屋さんの評判を聞いて、よさそうなところを紹介してもらってみてください。またもし、わたくしでよければ、きもののアドバイザーのお仕事で呉服屋さんの展示会にいるときにいらしてくださったらご相談にのります。展示会のときに、事前にご案内を差し上げますので、一度メールをくださいませ。

ちなみに、当初のご希望で長襦袢を手描きの友禅で誂えた場合、きもの地とさほど変わらない金額はかかります。柄の色数や手間にもよりますが、17、8万〜ぐらいと予想します。ふつうの長襦袢の柄物は型染めが主で、手描きの長襦袢はかなりの贅沢品なんですね。

また、ご希望の柄の付下げの友禅を誂えられる場合、20万台ぐらいからと思っておけばよいでしょう。この金額も、地域や呉服店によって違いがあります。

けれどですね、質問者さんのきものに限っていうならば、ご希望の柄行きは夏のきもののベーシック柄。ということは、お誂えをしなくても既製品の中でそれなりに合うものがあるかもしれません。
わたくしが今日お話ししたことなども踏まえ、一度、考えを整理をし、自分がほんとうに譲れない部分は何かを明確にしてからきものをつくられるほうがよいと思います。

〈長く着るきもの〉
90歳まで着られるかどうかはわかりませんが、柄の大きさや地色次第では、20〜30年は着られる長命のきものはできます。夏に人気の薄ブルーやモーブなどの紫系統、もしくは白といった色は、経年劣化して黄色くなると焼けが目立ちますので、これらを避ける色目を選んでもよいですし、途中で染め替えてもよいですね。
黒、臙脂、紺などの地色は、40年ほど経っても、焼けがあまり目立たない色です。

きものを褪色させないために、陽射しの強い季節はきものの上に上着(道行や道中着、羽織)を羽織ることをおすすめします。夏でも夏用の上着がほしいですね。日光にきものをされさなければ、きものの褪色はずいぶん防げます。

date: 2010年05月30日

subject: 足袋を傷めない工夫

from: 佐藤文絵



先日教えていただいた足袋の繕い、さっそくやってみましたよ。わりと大きな5ミリくらいの穴が空いてしまった箇所には当て布をしてチクチク(袷になっているその間に当て布を入れ込んでみました)。小さめの穴は植田さん方式で糸だけで繕ってみました。
ただあまり上手にできておりません。写真を載せたいところですが、まだ恥ずかしい感じ。家の中で履くならいいけど、出掛けるのはちょっとなあという仕上がりです(涙)。う〜ん。もう少し修行が必要です。

ところで、すでに空いてしまった穴は仕方がないけれど、まずは穴を未然に防ぎたい。先週はお茶会の手伝いをさせてもらったので、いくつか気をつけてみました。結果、かなり効果がみられました!

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お茶会で一日履きましたが、ほとんど無傷。


まずはちゃんと親指の爪を切ること。もちろん切り過ぎは注意。痛くなります(経験済み)。そして教えていただいた通りしっかりヤスリをかけました。親指の爪は他よりだいぶ厚いですよね。角を取って、指と爪ができるかぎりフラットになるようにしました。これは本当に重要だと思いました。
それから実験的に親指の爪先に“メクリッコ”を被せてみました。メクリッコ、わかりますでしょうか。文房具です(笑)。

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事務方の必需品、メクリッコ。これを爪先に。ちなみにサイズはSからLLまで揃ってます。足の親指にはLLがよろしいかと。


爪先がとんがっているから、そこだけ擦れて綻びが生じます。足袋を履く前に爪先をちょっと何かで覆ってあげるとだいぶ違うように思います。メクリッコはきっちり固定されるところがよいのですが、やっぱりカッコ悪いでしょうか(笑)。足袋にゆとりがあるなら化粧水用のコットンや脱脂綿のほうがいいかも。
植田さんからは、足袋のサイズを少し大きめにすることでダメージがある程度緩和されるかもとのアドバイスもいただきました。私は銀座むさしやさんの〈23.6cm〉の〈甲高〉を履いているのですが、かなりぴったりしています。今度はひとつ大きめのものを試してみますね。


さて、そんな足元の涙ぐましい話はさておき、茶会の日のいでたちはこんなふうでした。

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色無地に唐織の袋帯を合わせました。袷のさいご、単衣直前の5月末だから、軽めの色合いに。この季節は綸子の帯揚げが気分に合います。


5月末というと、無理して袷を着るかそれともフライングかと頭を悩ませるものだけど、とても涼しい日でしたので袷でちょうどよかったです。ただし長襦袢はすでに単衣。半襟はセオリーどおり塩瀬、帯揚げは縮緬を避けて綸子にしました。

まもなく6月。衣替えですね。毎年のことなのに、今は何だったっけ?とテキストなどをよく見返します。このブログでもちょうど一年前に「衣替え」について取り上げました(→5月 衣更え・お手入れ)。
単衣の帯合わせについてご質問が届いています。私も春単衣から盛夏、秋単衣までは、帯合わせをよく悩みます。次回はそんな話題になりましょうか。

date: 2010年06月06日

subject: 単衣の小物合わせ


from: 樺澤貴子



仕事に没頭していて、きものに袖を通す気持ちのゆとりが欠けていた、この一ヶ月ほど。はっと気づくと、袷の時期は過ぎ、単衣の季節となっていました。皆様、ご無沙汰しております。今日は、6月4日(金)に出かけたパーティの装いについてお話したいと思います。

選んだきものは、この4月に「きもの英」で誂えた裾濃の色無地です。単衣用の色無地を持っていないため、以前からの懸案事項でした。正絹を白生地から選び好みの色に染めていただくか、雨の多い季節ゆえに洗えるきものを選ぶか・・・・・・悩んだ結果、今回は後者に決めました。展示会に伺った日が、偶然にも植田さんとお約束のあった日でしたので、一緒にお見立ていただいたのが、この一枚。

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ベースは、桜鼠に少しベージュ味が加わったようなニュアンスのある色。裾と袂下の部分は、なんと表現したらよいのかわからず『日本の色辞典』(吉岡幸雄著、紫紅社)を調べてみると、鴇浅葱(灰色味のある紅色)という名称がピタリとくる感じです。お茶会に着ていくことを考えて、一ツ紋を刺繍で入れました。


新しいきものが届いて浮かれていたら、いざ着ていく段になってしどろもどろ。冒頭にも記したとおり、5月に一度も着物を着なかったため、衣替えのスイッチが入っていなかったのです。前日の夜に慌てて長襦袢を取り出したものの、少し迷ったのは、楊柳と絽の半衿のどちらをつけるかということ。袷や夏もののように明確なルールがなく、季節の間を移ろう単衣の装いは、自分のなかでもルールがあいまいで時として迷ってしまいます。

実は先日、ちょうどKayoさんから、単衣のきものにおける帯合わせや長襦袢、小物についてのご質問をいただきました。Kayoさん曰く「単衣のきもに、単衣帯を合わせるのは少し暑そうに見えます。体感温度を調整するために、絽の長襦袢を合わせた場合の半衿や小物は袷のものですか?それとも夏ものですか?」という内容でした。

単衣のきものには、綴れ帯や博多帯などの単衣帯はもちろん、夏帯を合わせることもできます。長襦袢はルールでいうと単衣のものということになりますが、温暖化のこの時代、絽の襦袢もOK。半衿は基本のルールでは楊柳または絽縮緬(普通の平絽よりも、ほっこりと暖かくみえるため、きもの通の方などは夏の絽の半衿と使いわけています)と言われていますが、夏用の平絽も今ではOKですよね。つまり、麻や自然布などの夏限定素材以外は、長襦袢や小物類は夏ものとのボーダーラインがないことに。ただし、これは6月の場合であって、9月の単衣の場合には、季節を先どって袷の季節の小物に歩み寄るというのが私の実体験。それにしても、これだけ選択が広いと、実際に迷ってしまいますよね。

私の中で決めていることは、原則的に「見える部分の素材を合わせる」こと。つまり、
1.帯が単衣帯なら半衿は楊柳
2.絽の帯を合わせた場合は、半衿も絽
といった具合です。帯揚げはほとんど見えないので、その時々ですが、基本は季節を先取り感を大切にしたいので絽または駒絽縮緬などを合わせます。紗や櫛織りなど絽目のない夏帯の場合には、基本的には絽の半衿を用意しておきます。

さて、結局のところ帯は絽の袋帯を合わせたため、半衿も平絽をつけました。パーティ当日のコーディネートは、ご覧のとおり。

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菊と芝草の黒地の袋帯に水色の帯締め、白に近いシャーベットピンクの駒絽縮緬の帯揚げを合わせました。また、きものまわりの小物もさりげなく、衣替え。桜鼠のきものと一緒に持った淡紅色の絽縮緬の風呂敷のグラデーションが、遠目に様になっていて、一人心の中でニンマリした次第です(笑)


植田さんや佐藤さんの単衣模様はいかがでしょうか?



date: 2010年06月15日

subject: 単衣の時期のお悩みあれこれ

from: 植田伊津子



ずいぶん時間があいてしまいました。ごめんなさい(>_<)。
来月に東京をしばらく留守にするため、あちこちの段取りをつけなくてはいけず、ほうぼうでお仕事に励んでおりました。もう秋の予定が動きはじめています。これから夏を迎えるというのに、年末〜来年にかけての動きもちらほら。時間が現実と合っていないからとまどいますね。

さて、そうはいいつつも、この前の週末(6月13日)は根津美術館というところで4流派合同のお茶会があり、わたくしはお客さまとしてうかがっていました。わたくしの師が、そのうちの一席を担当されたのです。

たまたま、宗偏流を学んでいるわたくしの又従兄弟、みーちゃんがその茶会の他の席で、スタッフとして参加することになりました。彼女は、昨年から茶道を習いはじめたきもの初心者です。
みーちゃんのお母さんが心配して、この時期の茶会のきものの取り合わせについて相談の電話をわたくしにかけてきました。
「お茶会のスタッフなら単衣の無地の一つ紋付きでいい? 帯はどんなものを合わせたらいいのかしら?」

また、とある男性のお茶人さんからもこんな質問が寄せられました。
「この時期のお茶会にうかがうときは、単衣のきものなのはわかるのですが、下の袴はふつうの袷用ですか? それとも夏用の絽袴を着用するのでしょうか?」

本ブログの読者であるkayoさんから、こんなメールもいただいていました。
「季節は6月上旬の想定です。単衣のきものに、単の帯は合わせられるのでしょうか? 単衣のきものに単の帯を合わせた場合、襦袢は絽にするとしたら、半襟や小物は袷用?それとも夏用を用いますか?」

さまざまなお悩みがあるようですね。

【単衣の時期の茶会のきもの】
みーちゃん(茶会のスタッフとして)とわたくし(お客さまとして)がうかがった、6月13日の茶会の場合。昨年わたくしは単衣の時期の帯について、こんなことを書いていました。

ふつう単衣のきものに合わせる帯は以下のようにいわれています。
《春単衣》
6月前半→袷のきものに合わせる帯を用いる
6月後半→夏のきものに合わせる帯を用いる

《秋単衣》
9月前半→夏のきものに合わせる帯を用いる
9月後半→袷のきものに合わせる帯を用いる


上記のセオリーは茶会のきものの場合でも同様で、今回6月13日におこなわれるケースなら、ちょうど6月の中旬ですから、袷用と夏用の帯のどちらでもよさそうに思いました。
ただ茶会のきものの場合、一般的に一年を通して、なごや帯よりも格調の高い袋帯を好む傾向があります。とくに紋付きのきものには袋帯を締めるケースが多いんですね。

6月の中旬、単衣に締める袷用の袋帯なら、いかにも冬といった重厚感のあるものよりも、できるだけ軽快な印象を人に与えるもののほうが映りがよさそう。といっても洒落袋帯よりは文様が伝統的なニュアンスで、少しカタメの趣きを選んだほうが、茶会の場合は落ち着くでしょうね。
とくに根津美術館のような格式のある場所、スタッフとしてかかわるのなら、少々控えめでかっちり気味の着こなしをしたほうが安全のような気がします。

13日という日にちならば、夏の袋帯でもよいですね。でも、夏用の袋帯をお持ちの方は少ないもの。絽や紗の伝統的な柄の袋帯というものは、お茶人さんでもさほど使用しないのが現状です。

ですから、叔母には以下のように説明しました。
「根津美術館の茶会の若手スタッフの立場なら、無地の一つ紋付きの単衣のきものなら間違いがなく、合わせる帯は夏用の伝統柄の袋帯を持っているなら、それを締めるのがベター。
それがなければ、袷用の袋帯の中からなるべく涼やかに見えそうな薄手のものを選んだほうがいいわ。
もしくは、無地以外の『綴れ』の帯でもいいわね。綴れは単衣のきものと好相性で、この時期のお茶会によく使われるの。
長襦袢も単衣で柄が騒がしくないもの。半衿は楊柳か絽縮緬、もしくはふつうの絽。併せて帯揚げも絽にしたほうがいいわね。帯締は夏用のレースを使わなくても可。夏用の袋帯は、一重のなごやの夏帯よりは重くなるから、かえってレースじゃないほうがおさまりがよかったりするの」
さて、お茶を嗜んでおられる読者の皆さんのご意見はいかがでしょうか。

※お客さまの立場としてうかがったわたくしの悩みも帯でした。
きものは淡紫色の上代御召に決めたのですが、帯の候補は3点。
まず、最初に取り出したのは紗の正倉院文様の袋帯。悪くないかな、と思ったのですが……。

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きものがやや眠い色目だったので、上に乗せてみると思いのほか地味。正倉院文様とはいうものの洒落袋に近いニュアンスなのがネックでした。


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写真右のお古のかわせみ柄が、2番目の候補。絽の織りなごや帯です。染め帯のように繊細に織られています。この日はお客さまの立場なので、スタッフよりは自由度の高い着こなしができるとはいえ、帯の完成度はともかく、柄がカジュアルだなあと感じました。お出かけ着に合わせるのなら、これでもいいんですけれどね。
ちなみに左もお下がりで、カサブランカ文様の絽の染めなごや。こちらは、まだ一度も締めたことがないうちに、着られる歳の賞味期限が切れたような気がします。


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玉子ベージュ地で紗の抽象草花文様の織りなごや帯(右)とすすき文様を織りだした絽つづれの帯(左)。もっと、カッと暑くならないと、黒地の帯は空気に馴染まないなーとため息が出ます。
他に無地の銀綴れや白地に白糸の夏袋帯も持っているのですが、無地きものに無地の帯を取り合わせるのは、至難のコーディネート。
結局今回は、消去法で玉子ベージュ地の紗のなごや帯を合わせました。わたくしには重めの夏の袋帯がないのを発見しました。



【男性の茶会のきもの 6月は袷の袴or絽袴?】
自信がなかったので、男性のベテランのお茶人さんや知り合いの製造卸さんたちにうかがったところ、以下のとおりでした。

「6月上旬ならば、袷用の袴でも違和感がありませんが、中旬以降は絽袴ですね。単衣用の薄手の袴(絽目がないもの)もありますが、絶対数が少なくなって、現在は別誂えとなる場合が多いようです。ですから、一般的には袷用と夏用の絽袴で一年をやりくりします。もしも羽織を使うなら、この時期の男性は絽か紗の羽織となります」


【kayoさんからのご質問】
「季節は6月上旬の想定です。単衣のきものに、単の帯は合わせられるのでしょうか? 単衣のきものに単の帯を合わせた場合、襦袢は絽にするとしたら、半襟や小物は袷用?それとも夏用を用いますか?」

「6月のおでかけなどには、単衣のきものに単の帯(織り八寸なごや帯)を合わせるのがいちばんしっくりきます。織り八寸なごやの代表的なものをひとつ挙げるならば博多帯ですね。織り八寸なごや(単帯)は、袷のきものにも締められますから重宝する存在として知られています。ただ、単帯の中でも、明るくて白っぽい色合いのほうが単衣の時期には映りがよいと思います。
6月の襦袢は、きもののルールでは単衣を用います。しかし、現実のわたくし自身は暑がりなので、5月下旬ぐらいから絽の襦袢も使います。5月までは絽の襦袢に塩瀬の半衿をつけたりもします。
6月からは、半衿と帯揚げは夏用となります。半衿は先ほども申し上げましたけれど、楊柳か絽縮緬、もしくは絽。帯揚げは絽縮緬か絽、紋紗などになります」

kayoさん、もう6月も中旬になってしまった頃に御返事をしてごめんなさい!でした。

date: 2010年06月29日

subject: ある日の装い

from: 佐藤文絵



梅雨空がつづき、きものに袖を通すのが億劫になってしまう今日このごろです。ここ数日京都はとても気温が上がって……昨日なんて33℃。じめじめ、むしむし……。不快指数はなかなかのもの。でもこの湿度がきめこまかい肌をはぐくんでくれるのですよね。そう自分に言い聞かせてます。

ところでまたまた間が空いてしまいました。ごめんなさい。私はおふたりのように超多忙ということは決してないのですけど、サッカーなどに気をとられております。ああ、そしてまもなく決戦です!


さて、1週間ほど前の話になりますが、お茶の家元を訪ねる機会がありました。茶会などの行事ではなく、茶室や露地を見学させていただくことが訪問の目的。お茶を学ぶ人はもちろんだけど、建築に関わる人や興味を持っている人などと一緒に見学することになるだろうときいていましたので、堅すぎない、ほどよくきちんとした装いがちょうどよさそう。そんなふうに思っていました。

当日は小雨がぱらつき、いつざーっと降っても不思議はない空模様。露地でどしゃぶりに見舞われたらどうなるのかしら。いっそ洋服かとも思ったけれど、やはりそこにはきもので居たい。なるようになるだろうと無地的な絽ちりめんの小紋に絽の染帯を締めて伺うことにしました。
結果、雨が降ることはなく、むしろ気温がどんどん上がって、汗をぬぐいつつの訪問になりました。ご一緒した方たちの装いはそれぞれで、きものを着ているのは私と友人の二人だけだったくらいだし、特に気後れするようなことはありませんでしたが、振り返るとやはり紋付で伺うべき場所だったと思いました。そういう心もちだったんです。気づくのがいつも遅いですね(笑)。

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しかしこういう雨の心配な季節こそ、洗えるきもの。樺澤さんの裾濃の色無地はすごくすてきで、鬼に金棒だわ。私も洗える単衣のきものをつくろうと、思いを新たにしました。


その日は午後からお茶のお稽古だったので、まあーよく汗をかきました。ちょうどよく翌日は梅雨の晴れ間。メンテナンスにいそしみましたよ。

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青空&洗濯物! きもちいい〜。


まずはきものの汗抜き。昨年紹介させていただいた「お手入れ講座 〜汗抜き」、みなさま覚えてますか?
たっぷり汗を吸った単衣のきものはそのままほっておくとキケン。汗は早めのケアが肝要です。私もビデオを観返してやってみました。とにかく汗をタオルへ移していく感じです。乾いたタオルをたくさん用意して、ケチらずたくさん使ってくださいね。

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こちらの絽ちりめんは汗抜きをすると、縮んでごわついた感触になります。アイロンをかければさらりとした感触に元通り。
ところでこの手に装着するタイプのミニアイロン台、補助的に使うとなかなか便利で重宝してます。


そして帯のほうもかなり汗を吸い込みますね。
とくに帯枕と背中の間のところが、しっとり、シワシワ。こういうのがシミになるんですよね。前にアンティーク市で芸妓さんの帯が出ていたのですが、夏物はひどいことになってました。夏の帯って残念ながらある程度消耗品なのでしょうか。帯の汗抜きって、プロのメニューにもあるのかしら。じつはこの帯、少しだけ汗抜きにチャレンジしてみました。気休め程度かもしれないけれど。

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帯枕の跡がくっきり。こうならないために、あしべ織汗取りなどをちゃんと着ておかないといけませんね。


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こちらはオマケ。真ん中のぽつんとした小さなシミは飛ばしてしまった抹茶です。これは触らないほうがいいかなあとぐっとガマン。プロにおまかせしようと思ってます。



さあ、もう数日で盛夏ですねー。

date: 2010年07月16日

subject: 涼を映す、夏ごろも

from: 樺澤貴子



関東はようやく梅雨明けを迎えます。皆様、すっかりご無沙汰してしまい、すみません。このところ、休みなく働き詰めで、お稽古さえ行けず、当然きものを着ることもなく・・・。今日はやっと話題になることが見つかったので、暑中お見舞い代わりに一筆。

実はつい先日、京都へ行ってきました。取材相手と同行した一泊の出張だったため、ロケバスの中から、祇園祭の準備に沸き立つ京都の町並みを眺めるのが精一杯。それでも、一日目のロケが終了した夜だけは、皆でゆっくりとご飯が食べられると目論み、これを利用しない手はない!と思いました。しばらくきものを着ていないので、「夏きものもいいなぁ」と思いながらも、取材相手の方の希望で床を予約したため、川風を感じながらの食事であれば、かえって浴衣の開放的な気分が楽しめると判断。どうせ浴衣にするなら、取材相手やスタッフの分も用意して、皆で楽しみたいと考えました。

どんな浴衣にしようかあれこれ迷った挙句、床でのお食事なので水辺のモチーフのものをチョイスしました。

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左:白地の綿絽に千鳥のシルエットを大胆に配し、小さな千鳥が軽やかに飛び交う図柄。ミントグリーンのイカット調の半幅帯を合わせて。右:濃紺地の綿絽に流水と団扇を染めた一枚。団扇のなかに描かれた萩や桔梗などの秋草が涼やかな夏の風情を映します。半幅帯は木綿地の独鈷柄。浴衣はどちらも竺仙のものです。

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カメラマン君には、きゃっちりとした印象の格子柄を。一人で着てもらうために、帯は兵児帯にしました。浴衣、帯ともに銀座伊勢由のものです。


お着替えした様子は、こんな感じ。お運びの方に写真をとっていただいたので、ブレブレでなんだかわかりませんが・・・(笑)。
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手軽に浴衣を纏っただけなのに、何ともいえない心のゆとりが生まれました。大きな気分転換をもたらしてくれた、きもの(今回は浴衣でしたが)って、やっぱり私にとって大切な存在なのだと改めて気づかされたひとときでした。

そして、ご一緒にお食事を楽しんだ京都のマダムは、このとおり、とても素敵な夏きものの装い。夜のお食事会ということで、白地のきものにパステルピンクの帯を合わせた、ふわりと優しさが薫るコーディネートでした。

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帯は抽象的に意匠化された花火の柄。そして、半衿にはお茶目にもビールジョッキと枝豆が染められていました!


来週こそは、お茶の稽古できものを着るぞ!と小さく決意した夜でした。植田さんや佐藤さんは、どんな夏ごろもでお過ごしですか?

date: 2010年08月26日

subject: 涼しくきものを着るアイデア

from: 植田伊津子


暑い! 毎年ならお盆を過ぎると、夕方からは涼風がただよってホッとひと息つく日々になるように記憶していましたが、今年は暑さがおさまる気配がなく、体にこたえる毎日です。

さすがのわたくしも少しばかりほっそりしました(^_-)。暑さが一段落したら、食欲がぶり返しそうで怖いですね。

そんななかきものを着るのは、もはや精神修行といえるもので、気合いの呪文でもとなえませんことには、外出もままなりません。イヤ呪文をとなえましても、根性無しのわたくしはつらいのです。
きもの業界は真剣に「地球温暖化STOP」活動に取り組むべきと感じています。そして、天然素材もふくめた最先端素材も検討しつつ、COOL(吸湿発汗性にすぐれたもの)肌着やきものの開発をしていかなくては、きものを着る方の減少に歯止めがかからないように思うのですが……。

さて、きものを着る機会が他の方よりも多いと思われるわたくし。「汗を防止するには?」「夏の間はどんな肌着を使っていますか?」と聞かれることがしばしばです。
今日は、わたくしをはじめ、いろんなところでうかがったきものマニアの皆さんの「涼しくきものを着るアイデア」について、ご紹介したいと思います。

【着付けの前の冷シャワー】
暑がりのわたくしの場合、部屋に冷房をきつめにかけておくのはもちろん、着用前に冷たいシャワーを浴びるのが有効だったりします。

発熱したときに身体をすぐに冷やすのは、太い動脈が集まる部分(脇の下、首筋、太ももの付け根)に保冷剤などを当てるのがよいと言われています。冷えた血液が全身をまわれば、体温が下がるからなんですね。ですからそれらの箇所中心に冷たい水を当てます。
浴場から出たら、冷蔵庫の冷たい麦茶を一杯。ガブガブ飲むとお腹をいためますので、一杯だけで充分。これで身体の準備ができました。ようやく着付けスタート!

【夏の肌着】
昨年8月の「肌着・長襦袢」のテーマでもお話ししましたが、わたくしの汗対策はあしべ織汗取りに頼っています。

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本来はあしべ織汗取り→肌襦袢→長襦袢の順に着るものなのでしょうが、私はあしべ織汗取りをつけたら、いきなり長襦袢となりますね。(その場合、裾除けはつけず、綿楊柳のステテコを用います)。


先日、実家に帰ったときに母と肌襦袢談義となりました。母はわたくし以上の暑がりで、あしべ織汗取りをつけると暑くてたまらないといいます。
「やはり夏の肌襦袢は麻に限るわね」という母。
「けれど、麻の肌襦袢→長襦袢→きものだと、きものの背中がすごく濡れない? わたしなんか、9寸絽の帯芯に輪ジミができるほど帯まで濡れるわよ。やわらかものはすぐお手入れに出さなければいけないわ」
「そうねえ。絹は縮んだりシミもできるから困るわね……だから(ボソッ。小声で→)夏は麻しか着ない……」
「茶人なのに、それでええんかいな!(笑)」

あしべ織汗取りを着てやわらかものを着る娘に、麻の肌襦袢と麻長襦袢で麻のきものしか着ないという母。ま、いろいろ好みがあって当然ですが、2人の会話はまだ続きます。

「麻の楊柳の肌襦袢は、糊付けをした布のようなサラサラ感だから快適なのはわかるけれど、私はこれを着ると痛くなったことがあって、それ以来着ないわねえ」とわたくし。
「買ったばかりの麻襦袢って『麻負け』するのよ。それはわかるわ。ちょっと堅くてゴワゴワするものね。だから私は何度も洗って、やわらかーくしたものを着るの。10年以上洗って、破れる寸前ぐらいの薄くなったのが具合がいいわね。お父さんの昔の肌着みたいなの」
「(笑)なるほどねえ」

その話を先日、楽艸の店主・高橋由貴子さんに話したところ、「肌が丈夫そうな植田さんだと思いましたが、やわらかめの本麻肌襦袢も売っているんですよ」とのこと。なるほど、わたくしのリサーチ不足なのでしょう。
本麻肌襦袢をこれから購入するなら、店頭でなるべくアタリのソフトなものを探すのがよさそう。

【冷えピタ&保冷剤作戦】
高橋さんをはじめ、他のきものマニアの方に教えていただいたのは、冷えピタ&保冷剤の活用。

「いくつかの保冷剤をひとまとまりにし、帯枕として使う」
「背中とお尻の間の補整をするタオルの間に、保冷剤を2つほど挟んでおくと涼しい」
「肌襦袢を着る前に熱冷まし用の『冷えピタ』を直接お腹に貼る」

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大人のボティ用の冷えピタ(ライオン)。6時間の冷却効果があるのだそう。


うーむ。皆さんいろいろ工夫をされているんですね。
今夏は清涼スプレー、冷感スプレーなるものが話題だそうで、下着などにシュッと一吹きすると体感温度が2度下がるといったグッズがあるそうです。また、「熱中ガード ぬる アイスノン」を身体に塗っておくという人もおられました。

すごい! 世の中進んでいます。

とりあえず、教えてもらった冷えピタ&保冷剤作戦をわたくしも実行してみました。
冷えピタを冷蔵庫でよく冷やしておいて、おなかにペタッ。冷たーい。効果絶大です。
そしてカチンコチンに凍らせた保冷剤を3つほどを手ぬぐいに包んで、補整として背中と腰の上あたりに当てました。

さて、それらをつけて一日外出をしてみたところの正直な感想はといえば……。
冷たい効果は1〜2時間ぐらいですかね。冷えピタは外出してしばらく、汗をかきはじめたら、貼っていることを忘れるぐらいになりました。
保冷剤はもう少し長持ちしましたけれど、ゲルが溶けたら効果がなくなりました。

当然といえば当然の結果ですが、それでも炎天下の中、2時間ほどの外出で済むのなら、試してみる価値はありそうです。今度は清涼スプレーにチャレンジしてみたいと思います。


ところで、それにしても、今日は挿図写真がほとんどありませんでした。すみません(>_<)。
そこで、先日、お目にかかったきもの美人2人の姿をご紹介しておきたいと思います。

女優の西田尚美さん↓(詳細はこちらのブログ参照)

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暑い最中、宮古上布をまとった西田さん。新里玲子さん作。宮古上布とは、沖縄の宮古島の織物。経糸緯糸ともに苧麻の手績み糸を用います。宮古上布の強靱にして弾力を持つ特性は、この手績みという手法に秘密にあるんですね。


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帯は同じく、宮古上布の中曽根みち子さん作。夏にはあっさりした柄を身につけたいもの。楽艸さんで誂えられた夏用草履とともに。


もうひとりは、きもの*BASICルールの仲間、樺澤貴子さん。とある8月の一日、ランチをご一緒したときの装いです。銀座の街角から歩いていらした姿を見たときに、あんまりステキで、わたくしはドキドキしてしまいました。

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たて縞のように見える畝が特徴的な絹紅梅。絹紅梅とは、絹地のなかに太めの綿糸が規則的に走って「骨」のような構造をしている着尺。綿紅梅にくらべると、地がもうひとつ薄いので、エレガントさがあります。絹紅梅は、夏きものの簡易なポジションとしてさりげなく着用しやすいですね。


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帯は、お身内から頂戴したという紗の9寸なごや。動的な楓と橋のモチーフが洒落ています。バッグは夏限定で使われているというドルチェ&ガッバーナ。白エナメルを編み目のように抜いた細工が目を惹きました。


さて、その樺澤さんがスタッフとしておおいに関わったという『きものsalon』(世界文化社刊)が、リニューアルを経て、先週発刊の運びとなりました。
わたくしも早速購入。

小説家の林真理子さんのきもの遍歴を紹介する企画では、多くの頁を割いてていねいに構成されており、見応え読み応えがありました。また、新世代の方々のリアルなきもの事情や、きものにも洋服にも似合うブランド名品図鑑など、幅広いテーマが楽しい!


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