date: 2009年09月05日

subject: きもの一枚、帯たくさん

from: 佐藤文絵



夏が去り、ふたたび単衣の季節が巡ってきました。
夏きもの、思ったほど袖を通せなかった・・・もはや例年通りだけど、やはり少々心残り。他にもやり残したことがいくつかあります。その一・海水浴。その二・かき氷。かき氷を一度も食べなかったなんて、例年にないこと。今年の夏は短かったですよね。


さて、今月は「帯と帯まわり」がテーマです。なかなか大きなテーマ。何から話はじめようかと、くちゃくちゃになっていた箪笥の中身を整理しながら、手持ちの帯をひとつずつ確認しました。

よく「きもの一枚、帯三本」という言い方がされます。まったくその通りと常々感じているところですが、私はさらに欲張って「きもの一枚、帯五〜六本」くらいいきたい、とも思っています。

きもの選びの基本的な作戦は「きものは新調、帯は古いものなどから賢く探す」。私の場合、お下がりやアンティークからきものを探すにはサイズが難しいから、まず諦めています。だから「これぞ」というものを慎重に選んで誂えます。個性の強すぎない、適応範囲の広いもの。強い印象ではなく、ほんわりとした印象を与えるものを選びたいと思っています。

一方で帯はアンティークやお下がり、仕立て替えなども含めて探します。帯は冒険のしどころ。合わせるきものがおとなしめのことが多いから、ちょっと派手かなというくらいの帯が好みです。そして帯は出会いもの。あまり慎重にならずに、感覚で選びます。

ここ一年ばかり、とくに帯熱が高まり、何かというと帯にばかり目がいってました。そのきっかけは、たくさんの帯を受け止めてくれる無地の紬を誂えたことでした。

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何だって合っちゃうぞー!の例。薄ピンクの無地紬は、たくさんの帯を受け止めてくれます。
ちなみにここにある帯の多くは、アンティークショップでみつけたものや、きものからの仕立て直し、知り合いから千円(!)で譲ってもらった・・・などなど、“賢く”買い求めたものばかり。


「好きだけど、合うきものがないなあ」と長らく箪笥に仕舞われていた帯が日の目を見ることになったのは、この紬のおかげ。アンティークの帯などを衝動買いしても意外と大丈夫。結果“帯ってなんて楽しいんだろ!”と開眼することになったのでした。その後帯の数が増え、きもの:帯の割合は、数えてみるとちょうど1:2でした。みなさんのきもの:帯の割合はどんなものでしょうか。

合わないものを探すほうが難しいくらい、とまでに思う無地紬ですが、もちろん合わないものもあります。例えば塩瀬の帯や繊細な糸目の友禅は質感の違いが際立ってしまいます。色調の違うものも×。帯ときもののコーディネイトは、合わせることで両方がより素敵になるのがベスト。もしくは片方に主役を譲り、片方は脇役に徹する。けれど合わせたことで、片方が急に地味にみえてしまうことがありますね。これはいけない。

それぞれ主張のあるきものと帯が「ぴたっ」と合うことこそ、きもののお洒落の醍醐味なのかもしれません。でもそれはそれ。“帯次第でなんとでもなる”きものの存在は、確実に着こなしの幅を広げてくれました。帯選びが一気に自由に、そして俄然楽しくなりました。


今月は、帯の格、帯結び、仕立てのバリエーション、帯締めや帯揚げの話などなど、話題がてんこもりです。次は樺澤さんかな。楽しみにしてまーす。

date: 2009年09月07日

subject: ファースト帯

from: 樺澤貴子



佐藤さんの帯のお写真、カラフルで楽しい気分になりますね〜。淡いピンクの紬に、優しく主張する帯の表情が可愛らしい!暖色系が中心でほっこりした柄裄なのに、甘すぎず、どこか芯の強さを感じる・・・まさに佐藤さんのイメージにピッタリ。<はるまき>さんがコメントに書いてくださったように「帯は人なり」ですね。

私も佐藤さんと同じく帯を選ぶのは、直感に頼ることが多いです。そんなエピソードのひとつとして、今日は私が初めて自分で求めた「ファースト帯」についてお話したいと思います。私のきものデビューは20代後半。ライターの先輩から「きもので歌舞伎を見に行こう」と誘われたのがきっかけです。きものも帯も両方揃えることは金銭的にも無理。かといって母の箪笥に眠っているものは、<地味路線>か<娘さんきもの>という両極端だったため、当時の私にはまったくささらなかったのです。今ほどきものの情報が身近になく、気軽に訪れられるアンティークショップも少なかったため、どうしたものかと悩んだ挙句、大叔母の箪笥から掘り出したクリーム地の型染めの小紋に合わせて、帯だけ誂えることにしました。

季節は12月、場所は歌舞伎座。このシチュエーションには、どんな格の帯が合うのか?素材は?柄行きは?何を基準にしたらよいのか、右も左もわからないまま、先輩が贔屓にしている問屋へ連れて行っていただきました。きものの写真を片手に帯を物色するなか、ベテラン販売員がすすめてくれるのは古典柄の間違いない系の帯ばかり。なかなか首を縦に振らない私に販売員さんは疲れ、私はイジケはじめたころ、やっと出会ったのが椿柄の織り名古屋帯でした。

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左:斜子織りによる椿柄の帯。見つけた瞬間「竹久夢二のイメージだわ!」と思い、一目惚れ。具象柄でありながら、切り絵のようなタッチがモダンな印象に映りました。右:今考えると、歌舞伎座へ行くにはちょっとカジュアルだったかもしれませんね。きものの裄もツンツルテンです(笑)。それでも、自力でコーディネートをした一揃えは、よい思い出です。


ファーストインプレッションで、このファースト帯を求めてから早10年。改めて見ると20代の私でも手の届いたものゆえに、けっしてよい品とはいえないのですが、この帯は今でも実によく働いてくれています。織りのきものには軽やかでカジュアルな表情を添え、染めのきものにはレトロでどこかおっとりとした印象を与えてくれます。無地場が多いためコーディネートしやすく、11月〜1月にヘビーローテーションで締めています。

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佐藤さんの真似をして、帯曼荼羅のような写真を撮ってみました。黒地よりも色合わせが難しく、間違えると野暮ったく見えてしまいます。そのため帯締めに、きりりと鮮やかな色を効かせるのがポイント。上段は紬、中段左は御召、右はウール、下段は小紋。


この帯は決して万能帯というわけではないのですが、きもののイロハも知らない初心者の私が見立てた帯がここまで活躍するというのは、一重に自分の好みで選んだからだと思っています。きものは安い買い物ではないし、「失敗したくない」「誰かにアドバイスを請いたい」「賢く揃えたい」ということは、もちろん大切!でも、それと同時に直感で「いいな」と感じることも大切にしたいものです。自分が選んだものであれば、色や柄行に、何かしら共鳴する要素があるもの。だから多少きものの好みが変わったとしても、ワードローブのなかで必ず活きてくるというのが私の経験から言えることです。

次回は、今の私にとって「自分らしく」しかも「幅広いシーンに活躍する」、洒落袋のお話と、意外にも便利な無地の帯についてお話したいと思います。

植田さんがお持ちの帯にはどんな物語があるのでしょうか。お茶を軸にした、細やかな配慮が行き届いた、きちんと感のある帯が目に浮かびます〜。では、バトンタッチ!

date: 2009年09月10日

subject: 「なごや帯」と「袋帯」の基礎知識

from: 植田伊津子



おふたりの楽しいコーディネートを拝見して、もうワクワクしちゃいました(^_^)。「帯一本にきもの三枚」の定説も然りだし、またその逆も然りかもしれない。帯は洋服のベルト以上の役割を果たしていますよね。きものと同じぐらいの重要な要素であるといえそうです。

はたして私の場合はどうなんでしょう。
自分が持っている帯を眺めてみると、「なぜこれを買ったのか」と苦い傷跡を思い起こさせるもの、「あのとき、私はなにを合わせたくて……」と疑念を抱くもの、「母は、なぜなんの断りもなく、こういう帯を誂えるのだろう」と親心を無下に思うものなど、到底ひと言では表せないような複雑な感情を持つ数々が手許に残っています。

ですが……おおむねザッツ・オールライト!

昔ほどキリキリしてコーディネートを頑張らなくなった私は、どんなものさえも、「ま、なんとかなるでしょ」と気楽な気持ちで、帯に対するようになりました。
どんな帯遍歴を経てきたかについては、これからおいおいお話しすることにして、今日は、まず帯の基本講座「なごや帯」と「袋帯」を中心に考えていきたいと思います。


[なごや帯]
きものに関する記事を書きはじめた頃、私は「名古屋帯」というふうに原稿を書いたところ、親しい帯問屋さんから「名古屋」は「なごや」と表記すべし、という指摘を受けました。帯問屋さんいわく「はじめは『名古屋』が発祥だっただろうけれど、名古屋とは関係がなくなっているし、「なごや」表記のほうが帯の世界では一般的になっている」とのことでした。

それがきっかけということではありませんが、この帯について調べてみたことがあります。

なごや帯は、結びの部分を普通幅にし、残りを半幅に仕立てた帯をいいます。長さは九尺六寸ほど。大正末期頃に名古屋で考案されたのが、この名の由来。柄や材質によって、おしゃれ用から礼装用まであり、現在もっとも一般的な女帯といえるでしょう。

なごや帯の見分け方は、「単太鼓であるか」という点が挙げられます。単太鼓というのは、お太鼓の布が一枚になっているもの。これが二枚(袋)になっているものは、一般的に「袋帯」と判別してよいでしょう(本当は、なごや帯の長さであっても、太鼓部分を袋にしている「袋なごや」「京袋帯」と呼ぶものもあります)。

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立涌丸紋なごや帯。お太鼓が一枚になっています。


[袋帯]
表地のみ織り柄、裏は無地の組み合わせで、袋状に織った帯を指します。長さは一丈二尺あって、結んだら太鼓部分が二枚となります。厚地の生地は両端をかがるだけで芯が不要ですが、薄地には芯を入れます。用途としては、主に礼装用として発展してきました。

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輪奈天鵞紋袋帯。有栖川や青海波文様を切り嵌め風に散らしたもの。表はモール糸で柄が織り出されていて、裏地は無地。


というのも、これの前身に当たるものが「丸帯」。戦前までハレの第一礼装に使われていたものです。表裏ともに織り柄がありましたから、たいへん豪華で重厚感がありました。
ゴージャスではあるものの重くて扱いにくい丸帯に代わるものとして、昭和初期頃に生まれたのが袋帯といわれています。現在では、留袖、訪問着、付下げ、小紋など幅広く使われますが、あらたまった装いに用いることの多い帯です。

「袋帯といえば礼装」という捉え方が、近年は「しゃれ袋」の流行によって様変わりしつつあります。「しゃれ袋」は、洒落着のきものに合わせるおしゃれな袋帯。
礼装の用途では、吉祥文様や伝統柄などの定番の柄がつけられますが、しゃれ袋は、おめでたい柄行きというよりは、自由な発想でモダンな文様が表現されます。

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正倉院柄ですけれど、伝統柄を大胆にアレンジした夏のしゃれ袋。純粋なしゃれ袋とはいえないかもしれませんが、キチキチとした印象の伝統柄とは違うニュアンスなので、私は洒落着にも使います。


また、ふつうの袋帯は金銀糸を多用しますが、しゃれ袋はそういうこともありません。ですから、たとえば訪問着や付下げでも多様な趣きのもの、もしくはおしゃれな小紋、よそゆき的な紬に合うものといえるでしょう。


[全通・六通・太鼓柄]
全通は帯全体に柄をつけたもの。どのようにして結んでも柄が出ますから、帯結びの初心者には心強い味方です。

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手先からタレまで、ずっと柄がついています。これはアンティークジャワ更紗の全通なごや帯。昔は、帯といえば全通の柄付けしかありませんでした。


六通は、全体の六割に柄をつけたものを指します。胴に二巻きするとき、ひと巻き目は柄が隠れます。また柄があるとその部分がかさばったりしてスッキリ締められません。それらを配慮して生まれた柄付け方法です。

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六通は、写真のように見えないところには織り柄をつけません。柄がなければ、すべりがよいので締めやすいですね。


太鼓柄は、前腹の一部とお太鼓に当たる部分のみに柄をつけたもの。太鼓結び専用の柄付けなので、他の結び方には適しません。手間と値段を節約した柄付けだともいえます。

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扇文様の塩瀬のなごや。前腹&太鼓に、上手に柄を出さなくてはいけないから、ちょっとしたコツが必要。何度か結んで柄の出る位置を確認しておきたいもの。



[八寸・九寸]
八寸帯は、八寸の織り幅をそのまま生かし、タレ裏をお太鼓裏ぐらいまで引き寄せて、そこだけかがってつくります。芯を入れませんから、しっかりとした織り地を用いるのが特徴。

たとえば、「綴れ」や「すくい」、身近なところでは「博多」、ざくざくとした夏の「原始布」の帯などがそうです。「八寸」「八寸なごや」と呼びますが、これらのほとんどが織り帯なので「織り八寸」ともいいます。

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手前が民芸風の織り帯で、奥にあるのが「博多」。


九寸帯は、端を折って芯地に縫いつけ、八寸幅に仕立てたもの。織帯と同様、染め帯も多く見かけます。染め帯は芯をつけないと、それ自体がやわらかいですものね。

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ちりめんの描き匹田の染め帯。こうして内側に縫うと、帯幅が九寸→八寸に変化(最近は八寸四分ほどの、やや幅広サイズが増えています)。九寸帯は仕立て前の帯幅を指すわけです。


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左=佐藤さんがお持ちの型染の帯。右=以前に紹介した四季の草花文染めなごや。
ともに中に芯を入れて、端を内側に折って、縫って仕立てている九寸帯。


一般的に、礼装に用いられる綴れ以外の「八寸なごや」はふだん着用、「九寸なごや」はふだん着〜よそゆき用として使われます。
ともに主に「なごや帯」の世界で使われる用語です。


[なごや帯の仕立て方〈ふつう仕立て〉〈松葉仕立て〉など]
さきほど「なごや帯は、結びの部分を普通幅にし、残りを半幅に仕立てたもの」と説明しましたけれど、この言葉通りのものが〈ふつう仕立て〉。なごや帯を誂えたときに、特段、なにも指定しなければ、この仕立て方でできあがります。

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なごや帯って、しまいにくいと思いません? だからしまいやすい〈開き仕立て〉のほうが好きって人、いると思います。


それ以外では、前腹部分を開いた状態にして仕立てる方法もあります。それが〈開き仕立て〉〈松葉仕立て〉とよばれるものです。
〈開き仕立て〉は手先まで全部開きますが、〈松葉仕立て〉は手先部分を一尺ほどをかがって、持ちやすいやすいようにしています。

〈ふつう仕立て〉は前幅を半分に織ってかがってありますから、扱いがとても簡単な一面、昔のなごや帯などは幅が狭いものもあって、きものに対しての帯幅のバランスが調整しにくいともいわれます。
〈開き仕立て〉は、慣れないとやや締めにくい一面、体型やきものに合わせて前幅を好きなように加減できます。背が高い人など、少しだけ余分に出したほうがバランスのよい方は、〈開き仕立て〉や〈松葉仕立て〉でつくられることが多いようです。

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左=開き仕立て。右=松葉仕立て。私は自分で前幅を加減するほうが好みなので、できるだけこれらどちらかのやり方で仕立ててもらっています。
上等なものは、芯を隠すように裏地をつけてもらうときもありますが、そうすると裏地の分が厚くなって案外締めにくい……。



簡単にざっと説明をしてきました。
たとえば、帯の織り方の技法についても詳しくいえば、それで本が一冊できてしまうほどでしょうが、たくさんのきもの本も出ていますし、皆さんそれぞれによくご存じではないかと思います。

今日、私が説明をしたことはよく知られていますものね。毎回「きものBASICルール」の読者の方に向けて、このような内容は書くまでもないと思うのですが、なぜか順番からいって、そういう役回りになってしまっております……。
多少はためらいつつ、一応用語解説みたいなものがあれは、次のおふた方の原稿もすんなりお読みいただけるのでは、と思って書いているわけです。
もし、「毎度毎度、判りきったことを……」と思われている方がおいでならば、どうかご容赦くださいませ。

えーっと、次回以降は、もう少し個人的な帯のお話をできたらいいな、と思っています。帯のTPOをとってもマナーの捉え方に個人差がありますものね。では、また。

date: 2009年09月13日

subject: 大好き、白の帯

from: 佐藤文絵



植田さんのわかりやすい基礎講座に感謝。樺澤さんのいう“直感で「いいな」と感じたものは、好みが変っても必ず活きてくる”――というお話も、その通りだなあとしみじみ思いました。先日無地紬とのコーディネイトでも紹介した紅型の帯がまさにそれ。分からないなりに「これはすごく好き!」、ビビビと直感を得た日のことを思い出します。きものに目覚めて間もない、6年ほど前のことです。

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この帯は、藍とゆうなで染められた久米島紬に合わせたくて選びました。大きな絣柄の久米島紬は、合う帯が見つからなくて、苦心していたのです。ようやく見つけたのがこの紅型。お互い主張の強いきものと帯がぴたりと合ってくれたと嬉しかったものです。
ただ琉球同士の組み合わせはパワーがあって、気後れしてしまうこともあります。インパクトのない感じでこの紬を着たい、とも思いました。その後も帯を探したけれど、なかなかピンとくるものがありません。簡単には“マリアージュ”してくれない、手ごわい紬だったのです。

そんなとき、無地の白の帯と出会いました。久米島紬に主役を譲りつつ、負けちゃいない――存在感がないようで存在感のあるこの白の帯が大好きになりました。

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左=難敵の久米島紬と合わせた最初の白い帯。まったくの無地だけど、存在感があります。右=こちらは普段着に愛用しているオフホワイトの帯。白の帯は私にとって気の張らない“落ち着く”帯です。


無地&白の帯には、帯締めや帯留めに工夫のし甲斐があります。ふだんは冠組一辺倒だけど、ちょっと変った組みの帯締めに変えるのも楽しい。帯留めも白のキャンバスにのせるようなものだから、しっかり映えます。

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ふだんは「うるさくなるかな」と避けてしまう帯締めが活躍。


そもそも私は「白」がとても好きで、白半襟・白足袋だけでなく、いつもどこかに白っぽい色をを入れたくなる習性があります。だから、無地&白の帯は何にでも合いやすいという利点もあるけれど、それ以上に“落ち着く”ということがありました。白い帯は増殖を続け、気づけば6本に増えていました。

まず半幅帯。純白の博多献上が単と袋、1本ずつ。清涼感を出したい夏のきものには、いつにも増して白を入れたくなるもの。白の博多は紺の浴衣や夏きものに合わせます。単と袋は、浴衣の素材感に合わせて使い分け。

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まったく同じ独鈷柄です。帯の端に藍が色移りしているのがわかりますでしょうか。これは白い帯のウィークポイント。


あとはすべて八寸のなごや帯。袷・紬向き、単衣・紬向き、袷・柔らかもの向き、盛夏用の4本です。

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左上=最初にお話した白の帯。糸の表情が豊かで生地厚があるから、ざっくりとした紬にはこの帯がぴったり。晩秋〜冬向きです。
右上=こちらはとっても存在感の薄い一本。いわば仲居さん帯。くだんの久米島紬に合わせたら、完全に負けます。でも、存在感のうすいきもの――特に単衣のシーズンには重宝。お稽古着などに合わせています。
左下=ポイント柄が織り込まれた八寸。地は「石目織り」といわれる織り方です。こちらは柔らかもの向き。
右下=盛夏に(+単衣の時季にも少々)締める夏帯。張りがあり、織の組織が面白いから存在感があります。上布などの夏きものに。


さりながら白の帯。探してみても、なかなか見つからないかもしれません。まず無地の白の帯というは、博多や盛夏の羅などは別として、あまり作られていないのですよね。「おっこれはなかなかいい風合いだぞ」と巻かれた反物を広げていくと、ポイント柄がじゃじゃーんと登場。そこでがっくりしたことは一度や二度ではありません。作り手の意図に反して「よ、余計なことを...」と恨めしく思うわけです。

次に生地として“存在感”がなくてはいけません。白&無地だからこそ、ぺたっと、のぺっとしていたら、つまらないだけ。いわゆる仲居さんの帯みたいなイメージといいましょうか(仲居さんスミマセン...)、貧相になってしまいます。“主役ではないけど、きものにひけをとらない”ことがものすごく重要なんですよね。

生地の魅力という点では、浦野理一さんの経節紬がひとつ参考になりましょうか。ファンの多い浦野理一さんの経節紬は、何といってもぽこぽことした丸い節が魅力。ランダムに描かれた模様のようで、無地でありながら趣がありますよね。

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こちらは残念ながら私のではなく母の帯。帯芯を入れて仕立てる九寸のなごや帯です。いまでは作られていない帯ですが、ときにアンティーク店でみかけることも。


銀座アンティークモールの「あおき」さんは、無地の紬帯をオリジナルで作ってらっしゃいます。赤城の座繰り糸を使い十日町で織り上げた無地の帯を、後染めで好きな色に染めてくださるそうです。実物は拝見したことがないけれど、きっとすてきな帯なのだろうなと想像しています。

私はよく帯の仕事に関わる方に、すてきな無地の八寸をぜひ!と強くアピールするのですが、あまり芳しい返事が返ってきません。どうやら創作意欲を刺激しないみたい。でも実は素敵だし、必ず売れるはず!――ここでもしつこく力説したいと思います(笑)。


さて、これまで紹介してきた帯はどれも「よそゆき」未満でした。よそゆきにも締めたくなるような、ドレッシィな白の帯に憧れを抱いています。たとえばこんな袋帯。ぐっと大人な雰囲気でしょう。

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京都のまだ新しい呉服店「鄙美」で見せていただいた袋帯です。源氏香をモチーフにした柄が織り込まれています。左=絣のきものを民芸調に傾けたくないときはこんな白い帯が好相性。右=近づくと金糸が使われていることに気づきました。よそゆきの染のきものにも合いそうです。


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この帯もとびきり素敵だと思いませんか。地と柄をあえて同色にする作戦は大好き。紬地に古典的な牡丹唐草というのもニクイです。西陣「帛撰」で見せてもらいました。


お次は樺澤さん。“意外にも便利な無地の帯”のお話でしたよね。テーマがかぶってしまってゴメンナサイ。でもきっとまた違う無地帯ライフのはず。よろしくお願いします!

date: 2009年09月18日

subject: 包容力のある無地の帯

from: 樺澤貴子



植田さん、いつもわかりやすい用語解説をありがとうございます!誰よりも私が勉強になりますので、ぜひ以後もご担当願いたいです(笑)。それにしても佐藤さんの白い帯は、素敵ですね。私は白い無地の帯は半幅帯しか持っておらず、佐藤さんのコレクションに、清新さを感じました。八寸帯の糸も静謐な生命力を放っていますね。私のお買い物リストのなかには、白一色の5本独鈷の博多紗献上帯を夏の万能帯として連ねているのですが、佐藤さんが仰せのとおり、白一色はなかなか見つかりません。

白の存在感の話を読んで思い出したのが、ココ・シャネルの「ブラックはすべてに結びつく色、ホワイトもしかり。それは、絶対的な美であり、完璧な調和」という言葉です。「色のない色」には無限の可能性と、どんな色をも受け入れる包容力があるということを、ファッションの歴史に刻んだシャネルの美学は、私にとっても装いのセオリーとなりました。

きものにおける白は、私は帯締めで取り入れています。帯に凛とした抜け感をつくると同時に、きものと帯のバランスを絶妙に整えてくれます。目上の方からは「白の帯締めや帯揚げは、礼装にしか使わないものです」と言われたとこもありますが、私はカラーパレットのひとつと考えて意識的に普段使いしています。我が小唄の師匠などは、もっと極端で「白い帯締めは年が改まったときに新しいものをおろし、1月いっぱいしか締めない」という赤坂芸者の流儀を今でも貫いています。白という色は、自由なようでいて、人それぞれにルールを持たせる。それほど強い存在なのだと改めて考えさせられました。

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持っている白の帯締めは2本。同じ白でも、微妙な色合いや組み方の違いで、異なる表情を見せてくれます。上=度々私の原稿に登場する内田みち子さんの帯締め(内田さんは年に2回、5月と10月に浅草橋のルーサイトギャラリーにて「十六夜きもの展」を行っています)。愛用する志村ふくみさんの帯締めに倣って、オリジナルを誂えようと生糸を取り寄せたところ、あまりにも輝く白の美しさに圧倒され、「染めるのがもったいない」と、生糸のまま太めの丸ぐけに組んだ帯締めです。やや太めなので、なかなかのインパクトをもたらします。下=以前もご紹介した野澤組紐舗の帯締め。こちらは精練された白で、房の中央に紅の糸をさした別誂えの一本。



さて、またも前置きが長くなりました。今日の本題は、私の無地の帯のお話をしたいと思います。きものと帯の柄の掛け合わせで物語を奏でることは、きものを装う醍醐味です。しかし、佐藤さんも書いていらっしゃったとおり、個性の強さに惹かれて求めたきものは、帯合わせが難しく、そんな難敵は無地の帯によって救われます。私が特に重宝しているのは、金・銀の無地です。金・銀も「黒や白」と同様に、いわば無色の色のカテゴリーに入り、幅広いきものを受け入れてくれます。それに加え、輝きを放つ糸ゆえに、お出かけ感を増してくれるのでパーティ帯としても活躍。ことに、洋装の方が多いシーンでは、どこかしら引き算の装いを心掛けるので、金・銀の無地の帯は華やぎを演出しつつも、ほどよい抜け感をつくってくれます。

[金無地の帯]
「金無地は格がありながら、格なし。1本あると便利よ」という言葉とともに小唄の師匠から譲られた袋帯。黄色味が控えめで、白味を帯びた金は、「いかにも」という輝きでなく上品な光沢が気に入っています。袋帯でありながら柄の重厚さがないため、訪問着から小紋まで幅広く締められます。それと同時に、どんなきものをも引き立て、かつ格上げしてくれるる力量を持った帯だということを、私はすぐに実感することになりました。

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左上=付け帯で、お太鼓部分は袋仕立てになっています。箔たたきのように見える不思議な質感。
左下=京紫の地に枝垂れ桜を型染めした付け下げ小紋も我が師から頂いたもの。師匠は「夜桜に月」をイメージしてコーディネートしたそうです。右下=ピンクやベージュ、グリーンや水色、茶色・・・私の手持ちのきものとかなりの確立でマッチ。袷のきものを悉皆屋に預けてあるため、バック紙で表現してみました。


また、同じ金地でもやや赤味のあるブロンズカラーは、落ち着いた印象を与えます。

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複数の書体で「寿」の文字が織り出されているため、年始やお祝いの装いに存在感を放ちます。


[銀無地の帯]
きものを誂えた際、仕立てあがってみたら意外にも顔色と合わなかった・・・という苦い思い出はどなたにもあるのでは。私にとってグレーのきものがその一つ。グレーは黄色味や青味など、ちょっとしたニュアンスで肌がトーンアップもすれば、逆にくすんだ印象に見せてしまう難しい色。洋服では上手くチョイスできているのに、きものとなると感覚がつかめないことが以前は多々ありました。銀糸を織り込んだグレー地にろうけつ染めで雪のようなドット柄を描いた小紋も、そんな苦い思い出の一枚。街中で見た鏡に5歳は老けた自分が映っており、以後しばらくはお蔵入りになっていました。その救世主となったのが、無地の銀綴れ。銀糸の冴えた光が、レフ板のような効果になって顔移りを明るく見せてくれるのです。金無地が華を添えるものならば、銀無地は穏やかな煌きを添えてくれる帯。もちろんグレーのきもの以外にも活躍しています。

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左上=銀綴れは締めにくいので付け帯が便利、というのは師匠の弁。頂きものの話ばかりで恐縮です。
左下=グレー+銀というワントーンコーディネートは、特に洋装の方が多いパーティやレセプションで、地味に傾かないシックなコーディネートとなります。右下=銀糸を交ぜた変わり織りの生地。

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光沢が美しい緞子地に薬玉を描いた訪問着。こちらは頂いたきもので、深いブルーグレーが顔色と合わず、なかなか袖を通すことができませんでした。無地の銀綴れを合わせると、ギリギリセーフ。鮮やかなな色をきかせたり(左)、あえて白で馴染ませたり(右)・・・無地の帯は帯締めによる変化が楽しめます。


[片面無地のリバーシブル帯]
最後にご紹介したいのが、片面が無地になったリバーシブルの帯です。白や金・銀などは別として、色味のあるものなら、やはり無地だけでは寂しい・・・という欲張りな私には、気分次第で選択肢が広がる、便利なアイテムです。

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左=白×ピンクで霞をイメージした綴れ帯。左右の巻き方次第で、ピンクを多めにするか白を多めにするか調整できるのもお気に入りの理由。右=裏面の胴前は同じ霞柄で、お太鼓だけをピンクの無地にすることができ、表情の違いが楽しめます。


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左=先の帯締めでご紹介した内田みち子さんのきもの展で求めたもので、緞子地に絞り染めで扇を形どり、扇面には描き匹田や刺繍を刺したアンティークの洒落袋。仕立て直す際に、内田さんのアイディアで裏に紬地を用いたため両面どちらも締められます。右=ほんのりと淡いピンクの紬地は、緯糸に節糸が織りこまれています。先の枝垂桜の付け下げ小紋と合わせ、帯のピンクで桜の花びらを演出。


自分のきものワードローブにどんな帯が必要なのか迷っている方は、ぜひ無地の帯を選択肢のひとつに加えてみてください。本当に便利ですよ。次回は、今日お話できなかった洒落袋のお話と、染め帯の生地と季節のお話などをしたいと思います。

では、植田さんにバトンタッチ。

date: 2009年09月24日

subject: 帯から考える「TPO」

from: 植田伊津子



シルバーウィークが終わりました。皆さんは有意義にお過ごしになられましたか? 私は仕事詰めで、パソコンの画面とにらめっこをしているような時間を過ごしました。その間、こちらのブログアップが、ずいぶんと空いてしまってすみません(^_-)。

さて今日は、「帯を変えることによって、着ていく場所が変えられる」具体例を紹介したいと思います。
同じきものでも、帯が変われば着ていく場所をランクアップできたりドレスダウンできたりしますよね。

私はいろいろときものと付き合う中で『帯の一番の役割は「格の表現」じゃなかろうか』と思ってきました。乱暴にいってしまえば、使用範囲の広い一枚のきものに「格の異なる」帯を三本持っていたら、およその場で困ることはなかろうと考えているのです。

今日はそんなお話。


[scene1 ふつうのお出かけ]
気張らないお出かけといっても、きものを着て出かけること自体が、洋服でのお出かけにくらべると自意識過剰に傾きがち。だから街にとけ込むような主張の少ないスタイルにしたい、悪目立ちしたくないという心理が働きます。

ただ、その一方できものでしか着られない色柄を身につけたいと考えている自分もいて、なかなかふつうのお出かけの帯選びがいちばんむずかしい。でも、自由だからこそ、とても楽しいですよね。

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今日は、この乱れ霰小紋のやわらかもののきもの(左)をベースにして、いろんな帯を組み合わせてみます。たとえば、こちらのインカ文様風のしゃれ袋。しゃれ袋といっても、柄のタイプからいえば「日常に締める帯」のひとつ。格はありません。パンチのあるおもしろい柄を持ってくると、グッと個性的な装いになります。


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シンプルな縞のなごや帯を組み合わせると、洋服的なニュアンスになったり。きものの仕事のお出かけに使うパターンです。この帯は、麻布十番にあった「うちだ」の内田みち子さんのきものの展示会で求めたもの。格のないふつうのなごやです。


[scene2 お茶のお稽古]
お茶のお稽古には、お古の帯や、もともと「お稽古用に」とこしらえたものを合わせることが多い私。織り帯から染め帯までさまざまなタイプを組み合わせます。

お稽古にきものを着てくる人が少ないせいでしょうか。きものを着てお稽古に来ただけで、先生方は「きちんと着てきて、エライわね」と、どんなきものであっても褒めてくださるように思います。いまどき、和のお稽古事の現場で、きものや帯の種類について、あれこれしつこく注意をされることはほとんどないでしょう。

たとえばお茶のお稽古では、昔なら「やわらかもの」がよいといわれていました。紬だと少しバサバサして立ち振る舞いが粗忽に見えがちですし、またハリのある紬の袖が置き合わせた道具を倒したりすることがあるからです。
けれど今は、昔ほどカタイことをいわれませんね。「染め+染め」「織り+織り」にかかわらず、好きな帯を締めます。

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昔の羽織を仕立てかえた染め帯と霰小紋なんてのも、お稽古向きの組み合わせのように感じています。お稽古事には、どこかに日本的情趣が感じられる組み合わせを考えます。
この染め帯は、柄行きと刺繍の密度からいえば、格のある文様なのですが、お古でツギハギだらけでもありますから「ふだん使いの帯」として扱っています。


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こんな染め帯もお稽古に重宝しますね。これは京都のに志田でこしらえたもの。菊楓を抽象的に表しているため、スリーシーズン締められます。きもののお稽古ライフを楽しむタイプの帯といえるでしょう。


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伝統文様の軽いなごや帯を合わせると、多少あらたまった感じとなります。これは、昔の池袋の志ま亀でつくったもの。「上の点前を勉強したいな」というときは、こういう帯を締めたりします。
いわゆる伝統的な宝尽くしの文様なので、織り方はふつうのなごやなのですが、上の染め帯より格はあります。実をいうと、この帯はとってもお手頃価格で、上のに志田の染め帯の何分の1というお値段でした。値段の多寡と格は比例しないんですね。


[scene3 少しきばったお出かけ]
年上の方たちが出席するきものの集まりに顔を出す、銀座での展覧会オープニングパーティーに顔を出すなど、やや人目が気になる場所に出かける場合は、上質な存在感を感じさせる帯を取り入れると、一気に力のあるコーディネートへ。

そういうときには、塩瀬の染め帯やしゃれ袋が便利だと思います。
もともと染め帯の生地には「塩瀬」と「ちりめん」がありますけれど、一般的に塩瀬のほうがきちんとした感じを表現するといわれています。
塩瀬のスルリとした質感が、ほどよい光沢を放ってきれいに見えるのでしょう。厚手の塩瀬に気の利いた文様が染められた染め帯などは、見るからに贅沢な印象を感じさせます。

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秋口に締めたくなるうさぎ柄は、志ま亀のもの。名物裂の花兎文様をアレンジしています。展覧会のオープニングパーティーなどには、この手の塩瀬の染め帯がちょうどいい感じ。染め帯なので格はもともと低いわけですが、文様の出来や友禅のテクニック、塩瀬の生地質などを総合的に判断すると、やや格のある染め帯のひとつに数えてもよいかと思います。


ちょっとよそゆきのお出かけには、しゃれ袋も活躍。お太鼓が二重になっていますから、当然、単太鼓よりも格上の感じがしますし、装いに重みが加わります。

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これは伯母のお古のしゃれ袋。無地系のやわらかものに合わせて、茶会などにも使っていました。柄的に格調はさほどありませんが、文様のところどころに金銀糸が入っていたり、しゃれ袋である点から考えると、ちょっときばったお出かけに使える一本。


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譲っていただいた「こうげい」のしゃれ袋。私には少々地味なのですが、大胆な牡丹柄が表されている力帯です。ビシッとした印象になりますので、あえて年上に見られたいときにこういう帯を選んだりもします。


手の込んだ刺繍が施してある帯を組み合わせても、よそゆき度が増しますね。
柄行きや刺繍などの加工密度を考えると、一般的な染め帯より格上の扱いができます。

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これはぎをん斎藤の御所解。ちりめんの生地に、手描き友禅で柄をほどこし、刺繍を入れています。染め帯でも格調がありますから、一つ紋付きのきものなどにも合わせられます。(ちなみに「染め帯」は染めだけをほどこした帯以外に、刺繍の帯も「染め帯」に区別します。)



さて……その他に、もっと格上の帯の実例にも触れたいところですが、格のある帯とは礼装の帯ともいえますから、それらについては11月の「礼装について考える」テーマのときに取り上げたいと思います。

今日は、帯で装いのランクをコントロールする一例を見ていただきました。このように私は帯を変化させて、仕事からお稽古事、ちょっとしたよそゆきにまでさまざまシーンに対応しています。

秋も日に日に深まって、きものを着るのが楽しい季節となりました。より帯合わせに頭を悩ますわけですが、それも喜びのひとつ。
皆さんの帯合わせのエピソードも、コメント欄でぜひお聞かせください。

date: 2009年09月27日

subject: 帯締め帯揚げの愉しみ

from: 佐藤文絵



うーん。さすがチャレンジャーな植田さん、いろんなタイプの帯をお持ちです。インカ文様から御所解まで、一人のひとのものでないみたい。偏食な私からするとバリエーションの幅がうらやましいです。日によってイメージががらりと変りそうですよね。

連休は実家に帰り、いつもどおり母ときもの談義に花を咲かせていました。母も私も今回はじめて気づいたのですが、母の帯にはやたらとベージュが多いんですね。こんなふうです。

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偏ったワードローブは、やはり親子というべきか。わたしの白帯コレクションにさらに輪をかけたよう(笑)。
ただベージュというのは、白と同じように使いやすい色ですよね。合わせやすく、品がよい。年齢を重ねると白は少し強すぎるということもあると思います。半襟を真っ白から生成りやうすベージュへ変えていくように、ゆくゆくは帯もこんなふうに白からベージュへと傾けていくことになるのでしょうか。

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左=ほぼ無地のざっくり系ベージュ帯3本。左から、九寸なごや・八寸なごや・袋。右=こちらはどれも袋帯。



さて今日は帯締め・帯揚げの話。きものと帯を合わせながら、あれでもないこれでもないと小物を選ぶ時間はきもの好きにとってもっとも幸せな時間ではないでしょうか。
小物合わせには、きっと誰でも自分なりの法則のようなものがあろうと思います。乗せてみて、感覚で選ぶというのが基本だけど、徐々に自分のくせというか、一定の法則のようなものがみえてきました。改めて考えてみると、私の場合はこんな法則があるようです。

【その1】
帯揚げと帯締めは同色にしない

【その2】
主張の強い帯には、帯にとけこむ帯締め、もしくは帯揚げを合わせることが多い

【その3】
反対色などの差し色を効かすなら、帯締めより帯揚げで

【その4】
うすクリーム、うすベージュ、うすグレーなど、
真っ白ではない白系の帯締めはかなりオールマイティ

【その5】
ただし普段着オーラを出したいときは、白系の帯揚げ・帯締めを使わない


具体的にいうと・・・。

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Case1は実際によく合わせている組み合わせですが、“帯揚げを帯にとけこませる”パターン。帯締めは白系=うすグレーの帯締め。きれいな色のきものには、小物合わせで作為を加えることなく、きれいな色をそのまま味わいたい気がします。

Case2は“帯締めを帯にとけこませる”パターン。逆に帯揚げを白系に。濃い色のきものはすっきり着たい。白系の帯揚げを合わせると、コントラストがはっきりして、それでいて爽やかで、ほどよいアクセントに。

Case3のきものは中間色の地味目の色。差し色を使って遊びたい気分です。帯揚げを差し色にしました。白系の帯締めだとすっきり。他のしっかりした色の帯締めに変えれば、より普段着らしくなるかな。

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左=今日のシミュレーションはパソコン上でやってみたので、カラーパレットから自由に色を選ぶことができました。でも何でもできると逆に迷いますね(笑)。実際のパレットはこんな感じ。右=白に近い色の帯締めは、ホントに出番が多いです。



さて、帯締めといえば私はほぼ冠組ばかり使っています。きゅっと締まる心地よさは代え難く、何よりシンプルで大好きです。だけど時には冒険もしてみたい。本当に力のある帯には、冠組では頼りなく思うこともあります。
これぞという帯には、使いまわしができなくてもいいから、帯に見合うほどの存在感のある帯締めを合わせてあげたいのですが、これは今後の課題。今は道明さんが送ってくださる綺麗な写真を眺めてイメージトレーニングしています。
九月も終盤ですが、おふたりの帯締め帯揚げ話もぜひおきかせくださいね。

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左=大好きな唐織にはどんな帯締めが合うでしょうね。そのうち帯を持参して道明へ行かなくては…。右=眺めているだけで楽しい道明のミニカタログ。糸見本も同封してくださいます。有難いですよね。大事に保管しています。

date: 2009年09月29日

subject: 染め帯の素材から考える「季節」

from: 樺澤貴子



植田さんの帯コレクション、素敵ですね。着こなしのシーンやそれに合わせる帯のカテゴリーは、私も植田さんの考え方とほぼ同じパターン。私の場合、ベースとなるきものは柳色の蛍絞りの小紋が重宝しています。植田さんの乱れ霰の小紋は遠目には江戸小紋のように見えて、よく見ると霰の強弱によるリズム感というのか、流れのようなものが豊かな表情ですね。こんな小紋があると便利だなぁと、かなり妄想が入りました。

さて、今日はまず前回から予告していたしゃれ袋のお話を。植田さんも便利にお使いのようですね。金糸銀糸を多用せず、古典柄などをモダンに意匠化させたしゃれ袋は、伝統柄の袋帯にはない遊び心が魅力。それでいて、袋帯としての格を薫らせるため、私にとっては、最も頻度の高いアイテムかもしれません。無地の紬や小紋などに締めると、カジュアルリッチな印象をもたらし、付け下げや訪問着に合わせると逆に洒脱なカジュアルダウンを演出。きものに応じて役割を演じ分けてくれる柔軟さが便利な所以です。

私がしゃれ袋を選ぶポイントは、
1.気軽なお茶会などにも締めていきたいので、ベースは古典柄であること
2.総柄の華やか小紋にも合わせたいので、適度な無地場があること
この条件を満たすものを探していたら、結果的に大胆なワンポイント柄ばかりが手元に集まりました。

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左上=名物裂の荒磯を意匠化したもので、ポップな色使いと大胆な切り取り方が一見荒磯に見えないところが気に入っています。初めての方が集まるシーンやお茶会に締めて行くと、帯の斬新さを話題にしていただけるので、ネタづくりにも一役かっています(笑)。
右上=鏡紋がオリエンタルな印象。シックな色でありながら陰影のある漆叩きの光沢がライトに映えるため、洋装の方が多いパーティや食事会などで活躍。
左下=前回ご紹介した、扇面を染めたしゃれ袋。染井吉野の花びらのように白に近い淡いピンクの緞子地は、幅広い色合いのきものと相性が抜群。古典芸能の観劇や小唄の発表会のときなどに締めています。
右下=古典柄ではありませんが、かもめの刺繍をほどこした夏のしゃれ帯。水辺の景色を染めたきものと合わせて、物語のある着こなしに。



続いて標題の、染め帯の素材から考える「季節」についてお話を。染め帯には季節を表現した柄があるので、もちろん一概には言えませんが、私は季節によって帯の素材を締め分けています。例えば同じセータでも、ハイゲージの薄手のタイプは秋口や春先に。起毛したシャギータイプやローゲージのニットは晩秋から2月の中旬くらいまで。サラリとした質感が心地よい綿ウールは春先に・・・という皮膚感覚のようなものです。皮膚感覚は人によって異なるので、下記は一般的なルールではなく、あくまでも私見によるお話です。

まず、私が持っている染め帯の素材は下記の4タイプ。

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左上=塩瀬。右上=縮緬。左下=紋綸子。絞り染めの帯は紋綸子を使うことが多いですよね。右下=木綿。写真は丹波布です。



[秋]
塩瀬や綸子の染め帯を締めます。袷のきものになったばたりで、まだ暑さが残る初秋には、さらりとした質感の塩瀬がベスト。紋綸子の帯はかなり光沢があるので、少し季節が進んで秋本番を迎えた頃から登場。しっとりとした秋の陽光には、綸子の華やかさがほどよく映えます。ですが、輝きを増した春の光のもとでは、綸子は浮いてしまうというのが私の実感。

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左=紋綸子地に菊と流水を描いた染め帯。以前ご紹介した羽織から付け帯に遣り繰りしたもの。これは菊の柄なので秋に締めるのは当然なのですが、他に手持ちの抽象柄の綸子地の帯も何とは無しに、春の光には似合わない。右=塩瀬に鼓と扇面を描いた染め帯。


[晩秋〜冬]
季節が深まり寒さが増すと、目がほっこりとしたものを求めます。そこで古代縮緬や紋綸子に絞り染め(板締めなどは別で、とくに匹田絞りのように生地感に凹凸のあるもの)をほどこした帯の登場です。写真の縮緬の帯は晴れやかな色合いなので4月の初め頃までは締めますが、絞りの帯は11月〜2月と決めています。絞り=11〜2月というのは、赤坂芸者の装いの暗黙の了解らしく、私も小唄の師匠の影響で自然と意識するようになりました。

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左=匹田絞りによる抽象柄の帯。きれいなクリーム色なので、春先にも締めたくなるのですが、色合いだけで合わせると生地のふくよかさが、やぼったく見えてしまいます。ただし3月初旬〜中旬で肌寒い日や曇天の日には敢えて温かみを感じさせるために、締める場合があります。右上=菊唐草の型絵染めの帯。右下=プロフィールの写真でも締めている古代縮緬の型絵染めの帯。たれの部分が鮮やかな鶸色なので、春先の装いにも活躍しますが、それもせいぜいGW中まで。5月に入ると、途端に古代縮緬のシボが暑苦しく感じてしまいます。



[春]
同じ縮緬でも東雲のようなさらりとした変わり縮緬や塩瀬は、春先の軽やかさを演出してくれます。また、「木綿の帯は断然、春が似合う」と思うのは私だけでしょうか?丹波布はかなり地厚なのですが、木綿のもつ優しさとさっぱり感が春の光や空気感と寄り添うような気がします。

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左上=丹波布に扇面の型絵染め。ぴったり二巻きを重ねるとかなりドスコイ系になるので、二巻き目をやや左上がりに締めて舟形に結んだりします。右上=鶸色、朱色、辛子色の手描き格子のコントラストが、白の塩瀬にきっぱりと映えた闊達な染め帯。左下=東雲のような変わり縮緬に板締めで幾何学柄を染めた帯。淡い色合いと直線的な柄が軽快な印象。



最後に、帯締めのお話です。佐藤さんの白のグラデーション、きれいですね。私も白ではコントラストが強すぎる場合には、白に近い極淡いピンク(私は勝手に染井吉野ピンクと呼んでいます)が活躍。白系は私もバリエーションを増やしたいと思っていたので、色合わせなど参考になりました。お母様のベージュの帯コレクションも素敵ですね!好きなものは徹底的に追求する佐藤さんと、同じDNAということが垣間見えるエピソードでした(笑)。

さて、佐藤さんの原稿を読んで、改めて我が帯締めをチェック。私も帯締めのほとんどが冠組。そして何故か、青系、緑系のバリエーションが豊富でした。次いで多かったのがピンク、赤、黄色で、各3〜4色ずつ。蓋をあけてみたら青系、緑系が多かったというのは自分で意外でした(笑)。

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写真左の房に別の色を使った冠組は最近のお気に入り。きれいな水浅葱×クリーム色の房(写真左)は植田さんにすすめられて、に志田の展示会で求めたもの。覚えてますか?とっても活躍していますよ。
写真右の佐賀錦(下から2番目)や、さりげない金糸使いで白から若竹色にかけてのグラデーションが美しい平組みのもの(一番下)は、きばったお出かけに活躍。


さて、9月も明日まで。来月からは色や文様で季節を取り入れるお話が始まります。どんなエピソードが聞けるのか、楽しみにしています。

date: 2009年09月30日

subject: 織りのきものに合わせたい帯

from: 植田伊津子



樺澤さんが触れていらしたように、私も季節によって染め帯の素材をなんとなく使い分けしています。ほっこりとした感触のちりめんのは11〜2月ですね。塩瀬は年中締めてもいいかな、と思いますけれど。
半袖や長袖といったかたちの変化がきものにはありませんから、素材や色柄の変化が、きものの世界では季節感の表現になりますよね。夏に薄物を着て、単衣になり、袷に変わるのもそうですし。

だから、きものが色や素材に「季節」の意味を求めるのは、洋服以上かもしれません。「先取り」という感性もその延長線上にあるような気がします。


さて、今日は織りのきものに合わせる帯についてお話ししたいと思います。
やわらかものを着る機会が多い私ですが、織りのきものも大好きです。ただし、染めのきものほど数を持っているわけではありません。そのため、織りのきものに合わせる帯も少ないと思います。

私の場合、織りのきものを着るときは大抵プライベートモードです。だからこそ、くつろいで身につけられますし、とても楽しい。
どこそこの集まりにはこういう方々がいらっしゃるからと、きものと帯のTPOを第一に考えなくてもよい状況は、「素」の好みが出るものといえるでしょう。

今日はいつものオカタイことは抜きで、「これ、好きっ」という超個人的なお話で9月を締めくくりたいと思います(^_^)。お許しくださいませ。


[工芸の布地を帯に仕立てる]
織りのきものにやわらかいニュアンスを加えたいときに染めの帯を手にとりたくなるのですが、その場合、クラフト的な染めを合わせるのが好きです。たとえば更紗の帯などですね。

更紗の帯って、織物と好相性。といっても私が好きなのは、もともと服や民族行事に使われることを前提として染められた布地です。はじめから帯にしようとして染められた更紗には、それほど食指が動きません。
ですから「あー、この布好き」という出会いがあって、布から帯の仕立てをお願いする場合がほとんどです。

なぜなのでしょう。
そういう更紗は、「どの部分をお太鼓にしようか」「もう少し、この柄がこちらにあれば腹帯のおさまりがよいのに。嗚呼」などと悩む楽しみがあるからかもしれませんね。その分、愛着というか親しみみたいなものが生まれるのでしょう。

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古更紗を長いこと手許に持っていました。おそらく20世紀初めぐらいのものだと思います。はじめは茶道具に添える何かの包みものにしようと思っていたのですが、とても大きな布地でしたので帯にしました。
お太鼓にどの柄を配置するか、真剣に悩みました。鋸文様にしようか、花文様にしようか……。それともお太鼓はあっさりと地紋にして、タレに鋸文様を持ってこようか……。帯の仕立てを頼んだ専門家の意見を一応聞きましたが、最終的に決断したのは私自身。
きものは紺黒地の地機の結城です。


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インターネットのバティック専門店「Duta Melati ドゥタ・ムラティ」が、5年ほど前に横浜の元町のギャラリーで展示会を催しました。そこで求めた布をなごや帯に。今出来のものだろうと思いますが、藍地に白一色でカクカクと描かれた文様がおもしろかったので。
これもお太鼓やタレにどの柄を持ってくるか、こちらが指定をしてつくってもらいました。


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ジャワのソロというところでつくられる「ソロバティック」の伝統的な柄。チャップという判子でつくられる量産品ですが、少し昔のアンティークのせいか、文様に趣きがありました。何度も水をくぐっているため、木綿なのにシープスキンのような肌触り。銀座の灯屋2で購入したものです。これは帯として売っていました。


[織りのきもの×織り帯から考えること]
着こなしとはすなわち「おしゃれ」とイコールで、洋服でもきものでも「自分らしさ」との付き合い方に頭を悩ましますけれど、はたして皆さんは、染めと織り、どちらのほうがそれを表しやすいとお思いでしょうか。

「派手に見える染め」のほうが自己顕示欲が強い、という方もおられるでしょうが、私は全般的に織りのきものの着こなしこそ、「おしゃれ」の得意な人が活躍できる分野のような気がします。

私は着る物を通じて、「その人はどんな人間であるか」を知らないうちに探ろうとします。同時に私も着る物によって、他者から「どんな人間なのか」を判断されているはず。

やわらかものは、TPOのルールに準じて考えることが多いですから、そのルールさえ踏まえていれば、「おしゃれ」の呪縛(自分らしくあらねばいけない)から、少し距離を置くことができるといえるでしょう。
それにくらべ、織りのきものの世界の、とくに織りのきものに織りの帯の組み合わせは、自由度が高いですよね。それは「装い」というよりも「ファッション」という言葉に近いからかもしれません。

たとえば、現代の女性が着てしっくりとくる「強さ」を見せたり、「女性性」を意識しない組み合わせも、織り×織りの得意技。染めのきものを「マニッシュに着る」のはむずかしいですが、織り×織りはやわらかもののそれよりは柔軟に表現できたりもします。

ナチュラルな手触りの服が多くの人に支持されている現代、織り×織りが発する「素材感」は今という時代とシンクロしている感じもします。なにか「温かい感触に包まれたら落ち着く」部分って、人間の本質的なものかもしれません。ファッションは、「自分にとって気持ちのよいものに素直になる」ことと同義なんでしょうね。

織り×織りの組み合わせは、そういうところをとことん追求できるからこそエキサイティングであるし、おしゃれに関心が高い人ほど最大の攻撃ができるのでしょう。当然、すごくむずかしい一面もあるわけですが。

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宋時代の陶皿絵紋を意匠化した9寸の織りなごや帯は、格調もあって私が大好きな一本。京都の帛撰さんのものです。後日色違いも頒けてもらおうとしたのですが、もう織元さんが辞めてしまったのだそう。とっても残念。
格調があるのに、しゃれ帯風でもあって、どんな織物でも受け止めてくれますが、今日は館林唐桟の斉藤裕司さんの木綿と合わせてみました。斎藤さんのつくる唐桟は、ほんとうにとろけるような木綿で木綿に対する認識が様変わりします。一衣舎さんでずいぶん前に仕立ててもらったもの。



さて、佐藤さんから自身の帯締や帯揚げのコーディネートについて紹介くださいね、といわれながら、まったく違うことを書いてしまいました。ごめんなさい。またそれらについてお話できる機会がおとずれたらよいなと思います。

10月からは袷へ代わり、きものを着るのにふさわしい季節ともいえましょう。次回からは『季節を取り入れる』という新テーマを3人で語り合います。それではまた。


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