date: 2010年09月30日

subject: 3つの季節が入り混じった長月きもの

from: 樺澤貴子



皆さま大変ご無沙汰をしております。「猛暑はいつまで続くの」と思いきや、あっという間に秋を迎え、洋服の衣替えもままならないこの頃です。9月はきものを着る機会が多く、今日はそれを振り返る形でお話をしたいと思います。本当は、もっとリアルタイムでお伝えできればよかったのですが、まとめての形となってしまいすみません。少し記憶を巻き戻して、残暑厳しい月初めを思い出しながら読んでいただければと思います。

■9月初旬
月頭は真夏日と変わらぬ暑さの只中にあったため、とても単衣に袖を通すことができませんでした。かといって、涼やかな印象の夏きものを纏うには違和感がある。そこで、活躍したのが濃地の無地感覚のきものです。深い色味に、夏と秋のつなぎ目のような暮れ行く風情を込めました。無地感覚を選んだ理由は、夏ものを9月に着るわけですから、いかにも涼感のある具象柄が描かれていないことがポイントとなるからです。

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左:銀糸が織り込まれている葡萄色の駒絽。渦巻き模様が描かれた付下げなのですが、抽象的な印象の図柄でもあるので、それほど夏らしさを感じさせません(と、都合よく解釈)。この日は歌舞伎鑑賞だったため、七宝葵の袋帯を締めました。歌舞伎は新橋演舞場の初日だったこともあり、きもの姿の方も多かったのですが、8割がたは夏もの。歌舞伎役者の奥様連はさすが単衣のきものをキリリと着こなしていらっしゃいました。
右:ほとんど黒に近い濃紺の紗のきもの。燕文が織り出されているのですがワントーンのため、柄の存在感はほとんどありません。銀座で食事会だったのでカモメの刺繍をほどこしたアンティークの洒落袋でクラシカル・モダンな雰囲気に。


■9月中旬
9月10日を過ぎると、さすがに夏ものを着ることに違和感があったため、決死の覚悟で単衣を着ました。ただし、30度を超える気温ゆえに長襦袢を着る気にはなれず、うそつき襦袢で体温調整を。この日は大島紬の織り手の方々との食事会。残念ながら単衣の大島紬を持っていないため、私の中で秋単衣として重宝している叔母譲りの紬をチョイス。

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叔母譲りの生成り色の絣柄の紬。絣柄のきものは、それ自体がほっこりとした印象。ただ、当日は本当に暑かったため、全体的にきっぱりとした着こなしを目指して木綿の型染めの帯を合わせました。この帯は、私のワードローブの多くをしめている「うちだ」の十六夜展で求めたもの。見た瞬間に、多彩な色遣いで複雑な織り柄を表現するミッソーニのニット製品とリンクし一目惚れ。茶系やピンク、グリーンから黄色やグレーなど・・・・・・様々な帯締めを受けとめてくれる包容力があり、コーディネートの想像力が膨らむ帯でもあります。この日は、きりりとした納戸色の帯締めでクールにまとめました。


■9月下旬
ようやく、きものを着ていても汗ばまない気候に落ち着いたと思ったのもつかの間。10月を飛び越えて、11月初旬の気温と発表されるほど一気に肌寒い日が続きました。そこで、きものはルールどおり単衣を選びましたが、帯や小物をはじめ、肌襦袢を晒しからガーゼ素材に、長襦袢も袷のものへとシフト。実際はどれほど温かさを確保できるものでもありませんが、皮膚感覚の違いとでもいいましょうか。下旬に纏ったコーディネートは、意識したわけではないのですが、どちらの装いも暖色系にまとまりました。

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きもの英で誂えた裾濃の付下げに、お月見の季節限定の帯を合わせて。帯締めにお月様の色を、ひと差し。


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9月最後のお茶のお稽古へは、単衣の江戸小紋で。「帯は先取り」という意識があるので、さらりとした白の塩瀬地の染め帯を合わせました。肌寒い日だったため、暖色系の小物で目に映る温かみを添えて。



こうして振り返ってみると、9月は夏もの、単衣、袷のものと3つの季節のアイテムが入り混じるきもの暦となりました。異常気象の影響で、ルールどおりの組み合わせができない昨今、コーディネートをしながらやや不安な気持ちになります。明日はもう10月、迷うことなく袷にシフトできます。この秋はきものを着ていくお出かけが目白押し。来月はもう少しこまめにレポートさせていただきます(反省)。

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最後にお知らせを。コーディネートにも登場した「うちだ」の十六夜展が10月8日〜10まで、浅草橋のルーサイトギャラリーで行われます。私は8日(金)に行く予定ですが、皆様よろしければ足をお運びください。
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