date: 2010年06月15日

subject: 単衣の時期のお悩みあれこれ

from: 植田伊津子



ずいぶん時間があいてしまいました。ごめんなさい(>_<)。
来月に東京をしばらく留守にするため、あちこちの段取りをつけなくてはいけず、ほうぼうでお仕事に励んでおりました。もう秋の予定が動きはじめています。これから夏を迎えるというのに、年末〜来年にかけての動きもちらほら。時間が現実と合っていないからとまどいますね。

さて、そうはいいつつも、この前の週末(6月13日)は根津美術館というところで4流派合同のお茶会があり、わたくしはお客さまとしてうかがっていました。わたくしの師が、そのうちの一席を担当されたのです。

たまたま、宗偏流を学んでいるわたくしの又従兄弟、みーちゃんがその茶会の他の席で、スタッフとして参加することになりました。彼女は、昨年から茶道を習いはじめたきもの初心者です。
みーちゃんのお母さんが心配して、この時期の茶会のきものの取り合わせについて相談の電話をわたくしにかけてきました。
「お茶会のスタッフなら単衣の無地の一つ紋付きでいい? 帯はどんなものを合わせたらいいのかしら?」

また、とある男性のお茶人さんからもこんな質問が寄せられました。
「この時期のお茶会にうかがうときは、単衣のきものなのはわかるのですが、下の袴はふつうの袷用ですか? それとも夏用の絽袴を着用するのでしょうか?」

本ブログの読者であるkayoさんから、こんなメールもいただいていました。
「季節は6月上旬の想定です。単衣のきものに、単の帯は合わせられるのでしょうか? 単衣のきものに単の帯を合わせた場合、襦袢は絽にするとしたら、半襟や小物は袷用?それとも夏用を用いますか?」

さまざまなお悩みがあるようですね。

【単衣の時期の茶会のきもの】
みーちゃん(茶会のスタッフとして)とわたくし(お客さまとして)がうかがった、6月13日の茶会の場合。昨年わたくしは単衣の時期の帯について、こんなことを書いていました。

ふつう単衣のきものに合わせる帯は以下のようにいわれています。
《春単衣》
6月前半→袷のきものに合わせる帯を用いる
6月後半→夏のきものに合わせる帯を用いる

《秋単衣》
9月前半→夏のきものに合わせる帯を用いる
9月後半→袷のきものに合わせる帯を用いる


上記のセオリーは茶会のきものの場合でも同様で、今回6月13日におこなわれるケースなら、ちょうど6月の中旬ですから、袷用と夏用の帯のどちらでもよさそうに思いました。
ただ茶会のきものの場合、一般的に一年を通して、なごや帯よりも格調の高い袋帯を好む傾向があります。とくに紋付きのきものには袋帯を締めるケースが多いんですね。

6月の中旬、単衣に締める袷用の袋帯なら、いかにも冬といった重厚感のあるものよりも、できるだけ軽快な印象を人に与えるもののほうが映りがよさそう。といっても洒落袋帯よりは文様が伝統的なニュアンスで、少しカタメの趣きを選んだほうが、茶会の場合は落ち着くでしょうね。
とくに根津美術館のような格式のある場所、スタッフとしてかかわるのなら、少々控えめでかっちり気味の着こなしをしたほうが安全のような気がします。

13日という日にちならば、夏の袋帯でもよいですね。でも、夏用の袋帯をお持ちの方は少ないもの。絽や紗の伝統的な柄の袋帯というものは、お茶人さんでもさほど使用しないのが現状です。

ですから、叔母には以下のように説明しました。
「根津美術館の茶会の若手スタッフの立場なら、無地の一つ紋付きの単衣のきものなら間違いがなく、合わせる帯は夏用の伝統柄の袋帯を持っているなら、それを締めるのがベター。
それがなければ、袷用の袋帯の中からなるべく涼やかに見えそうな薄手のものを選んだほうがいいわ。
もしくは、無地以外の『綴れ』の帯でもいいわね。綴れは単衣のきものと好相性で、この時期のお茶会によく使われるの。
長襦袢も単衣で柄が騒がしくないもの。半衿は楊柳か絽縮緬、もしくはふつうの絽。併せて帯揚げも絽にしたほうがいいわね。帯締は夏用のレースを使わなくても可。夏用の袋帯は、一重のなごやの夏帯よりは重くなるから、かえってレースじゃないほうがおさまりがよかったりするの」
さて、お茶を嗜んでおられる読者の皆さんのご意見はいかがでしょうか。

※お客さまの立場としてうかがったわたくしの悩みも帯でした。
きものは淡紫色の上代御召に決めたのですが、帯の候補は3点。
まず、最初に取り出したのは紗の正倉院文様の袋帯。悪くないかな、と思ったのですが……。

100615-3.jpg
きものがやや眠い色目だったので、上に乗せてみると思いのほか地味。正倉院文様とはいうものの洒落袋に近いニュアンスなのがネックでした。


100615-1.jpg
写真右のお古のかわせみ柄が、2番目の候補。絽の織りなごや帯です。染め帯のように繊細に織られています。この日はお客さまの立場なので、スタッフよりは自由度の高い着こなしができるとはいえ、帯の完成度はともかく、柄がカジュアルだなあと感じました。お出かけ着に合わせるのなら、これでもいいんですけれどね。
ちなみに左もお下がりで、カサブランカ文様の絽の染めなごや。こちらは、まだ一度も締めたことがないうちに、着られる歳の賞味期限が切れたような気がします。


100615-2.jpg
玉子ベージュ地で紗の抽象草花文様の織りなごや帯(右)とすすき文様を織りだした絽つづれの帯(左)。もっと、カッと暑くならないと、黒地の帯は空気に馴染まないなーとため息が出ます。
他に無地の銀綴れや白地に白糸の夏袋帯も持っているのですが、無地きものに無地の帯を取り合わせるのは、至難のコーディネート。
結局今回は、消去法で玉子ベージュ地の紗のなごや帯を合わせました。わたくしには重めの夏の袋帯がないのを発見しました。



【男性の茶会のきもの 6月は袷の袴or絽袴?】
自信がなかったので、男性のベテランのお茶人さんや知り合いの製造卸さんたちにうかがったところ、以下のとおりでした。

「6月上旬ならば、袷用の袴でも違和感がありませんが、中旬以降は絽袴ですね。単衣用の薄手の袴(絽目がないもの)もありますが、絶対数が少なくなって、現在は別誂えとなる場合が多いようです。ですから、一般的には袷用と夏用の絽袴で一年をやりくりします。もしも羽織を使うなら、この時期の男性は絽か紗の羽織となります」


【kayoさんからのご質問】
「季節は6月上旬の想定です。単衣のきものに、単の帯は合わせられるのでしょうか? 単衣のきものに単の帯を合わせた場合、襦袢は絽にするとしたら、半襟や小物は袷用?それとも夏用を用いますか?」

「6月のおでかけなどには、単衣のきものに単の帯(織り八寸なごや帯)を合わせるのがいちばんしっくりきます。織り八寸なごやの代表的なものをひとつ挙げるならば博多帯ですね。織り八寸なごや(単帯)は、袷のきものにも締められますから重宝する存在として知られています。ただ、単帯の中でも、明るくて白っぽい色合いのほうが単衣の時期には映りがよいと思います。
6月の襦袢は、きもののルールでは単衣を用います。しかし、現実のわたくし自身は暑がりなので、5月下旬ぐらいから絽の襦袢も使います。5月までは絽の襦袢に塩瀬の半衿をつけたりもします。
6月からは、半衿と帯揚げは夏用となります。半衿は先ほども申し上げましたけれど、楊柳か絽縮緬、もしくは絽。帯揚げは絽縮緬か絽、紋紗などになります」

kayoさん、もう6月も中旬になってしまった頃に御返事をしてごめんなさい!でした。
COMMENT
突然不躾な質問をお許しください。単衣用の長襦袢の相場とはおいくらくらいでしょうか? 実は先日、いつもの呉服屋さんに、手持ちの小紋の反物を宅配し、お仕立てと、長襦袢をお願いしました。と、長襦袢の表地のお値段が198,000で請求がきました。それから、お値引きはあるのですが、、、振り袖でもそんなに高いお襦袢はなかったので、驚いています。そんな高いお襦袢ってあるのでしょうか?
Posted by ママダイズ at 2010年06月18日 18:17
ママダイズさま

もう一度、値段を確認されたほうがよいでしょう。
長襦袢地だけで19万8000円というのは、市場価格からいえば、かなり高価です。割引があったとしても、こういう値段をはじめに提示する呉服屋さんは、信頼に足るお店とはいいにくいかもしれません。

おそらく、通常の場合は8万前後(4〜6万の長襦袢地、単衣長襦袢のお仕立てなら高くても2万5000円ぐらい、居敷当て8000円ぐらい)でできるんじゃないかしら。振り袖長襦袢なら10万円強も払えば、いっぱしのものがつくれると思われます。
Posted by 植田伊津子 at 2010年06月21日 00:54
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