date: 2009年12月05日

subject: カジュアルダウンの礼装の一例

from: 植田伊津子



12月になっちゃいましたが、今回は佐藤さんから話題を振られた「礼装のカジュアルダウン」について、わたくしなりに考えてみたいと思います。

むむむ……。すごくむずかしいなあ。はあー。

というのも、わたくしや友人たちが結婚した頃というのは、まだかろうじて形式を重んじる時代で、仲人さんもいましたし、親族は黒留、未婚の妹たちは振り袖というのが定番でした。ホテルや結婚式場での式が多かったんです。
今流行りのレストランウエディングや人前結婚式というかたちが、ほとんどなかったと記憶します。ウエディングのかたちは、この10数年の間に多彩になりましたね。

そして今、40歳を越えたら、およばれの席がぐっと減っちゃいました。そのため私は、カジュアルダウンをほとんど実体験することなく、今に至っているような気がします。はい。

ですが、このところ仕事を通して、佐藤さんのように「カジュアルダウンの礼装」について聞かれる機会があるんです。ひと昔前は、何の疑いもなく決まりきったきものを着ていればOKだったのですが、「決まりにとらわれない自由」って不安なんですよね。「こんなのでいいのか、わからない!」って。

わたくし的には、「イマドキ何を着ていったって、文句をいう人もなかろう。きものを着ているだけで『エライ』って褒められるのだ。だいたい親世代でさえ、きものの決まりをはっきり知らないから冷や汗をかいているのに……」と内心思わないでもありません。

自分にとって気持ちのよいものを着る、好きなものを着たい……という人に、目をつり上げて注意をする人は、現在、それほどいないでしょう。それが若干寂しい一面もありますけれどね。
主賓が自由奔放に個性的な「おしゃれ」を追求するのですから、その場に参加する者も例外なく「おしゃれ」が求められる時代です。そっちのほうがかなり大変。さてどうしましょうか。

それはともかく、あまりカジュアルダウンをしないわたくしが、そういう場に招かれたとしたらどんな感じで行くだろうか、紋付きなどの礼装ステージの知識も全部無視して、自分の好みで軽礼装を考えてみたら……と仮定してみました。


[付下げ小紋]
ドレス感覚のきものといえば、やっぱり「付下げ」や「付下げ小紋」が便利で、気どらない披露宴や二次会、パーティ、ちょっと気張ったきものの展示会などの「軽めのハレの場」に重宝します。
さっぱりした柄なのに、絵羽付けという構成ですから「大げさでないおしゃれ」という感じがして使いやすいと思います。
柄がこってりしてないきものをベースにすると、どんな帯を持ってきても合いやすいですから利用範囲が広いですね。

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江戸小紋を付下げにアレンジして染め替えたきもの(に志田)に、唐織の帯(に志田)の帯を合わせて。この付下げは無地感覚なのに小さな色紙散らしのアクセントがあるので、帯を変化させれば茶席のきものとしても重宝します。伝統的かつ作行きに新しさを感じるタイプの袋帯を組み合わせました。


[軽礼装は帯で魅せる]
きものをあっさりめにしたら、帯は力のある帯を持ってきたいですね。といっても、ここで古典的な袋帯を組み合わせたら、一挙にスタンダードな礼装という感じになりますから、しゃれ袋帯の登場です。
このところの私の好みは、「古典と斬新がシェイクされたようなしゃれ袋」に目が行くのですが、そういうタイプがカジュアルダウンの礼装にとっても役立つような気がしています。

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左=すごく力のある帯に惹かれます。個人的には、帯は箔使いや錦よりも唐織が好みで、きものはキラキラ系の紋綸子や紋意匠といった取り合わせの軽礼装が好きですね。これは「舞楽菱」という伝統柄ですが、柄の処理の仕方が大胆なもの。帛撰さんで求めました。
右=付下げ風に染め替えをした松葉色の水玉(染めのみずぐち)に輪奈天鵞紋袋帯(誉田屋源兵衛)を取り合わせて。有栖川や青海波文様を切り嵌め風に散らした帯の文様がモール糸で表現されているので存在感が抜群です。礼装用の白金の帯締と金彩帯揚げでキラキラをプラス。


古典的な趣きは、たとえば直線と幾何学的な文様が整然と並んでいると、正統派、オカタイといったイメージになりやすいかもしれません。
それも小さめの柄だったりすると、普段着っぽく見えがち。蜀江や亀甲、七宝、唐花、丸紋などでも、大きさにメリハリがあったり、大胆なデザイン処理がされているとしゃれ感が出てきます。

[光沢Love]
ハレの席には、マットな素材感よりも光沢系の何かを身につけたい感じがします。たとえば無地っぽいきものでしたら「光沢のある御召」「天蚕糸の色無地」「紋意匠、紋綸子の大柄の色無地」……など、とにかく何かキラっとした輝き=ドレス感覚となります。

もしくは、帯留めに真珠や宝石を使ってもよいですよね。私は帯留めを持ってない人間なので妄想で語りますが。

と、くれば、ネイルのおしゃれもよいかもしれません。きもののコーディネートに合わせて、ラメやかわいいストーン使いも素敵。

指先をキラキラと飾るのは女性の特権だと思いますし、最近のネイルのテクニックは芸術作品ともいうべきもの。
ふだんは素爪のわたくしでも、パーティの場に出かけるならネイルをほどこして、気持ちも爪も「盛り」上げたいですね。ネイルは、宝石のリングに匹敵する強さがあると思います。

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左=ふだんによく使用するちりめんの帯揚げでも、この灰桜色の金彩散らしのデザイン(上の松葉色のきものにも取り合わせています。井澤屋製)ならパーティに重宝します。
右=もちろん紋綸子に絞りの帯揚げも、ハレの場によく使っています。


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草履もちょっとキラキラ。螺鈿が鼻緒にほどこされたミルキー色の軽礼装用。ハレの場には、明るくて白っぽい色の草履がおすすめです。
よく礼装用の草履といえば、バッグとおそろいの佐賀錦や、もしくは鼻緒が錦っぽい布製というものもあるけれど、これは大げさではない螺鈿のデザインが軽礼装に最適。東京銀座のぜん屋製。



こうやって皆さんにわたくしの軽礼装を紹介してみると、自分の好みが整理されてきました。

私は結構キラキラが好きなんですね。それもド派手なキラキラではなく、控えめのキラキラ。帯は力のあるもの。洒落ているのに古典柄、というタイプ。

今日はバッグを取り上げませんでしたが、軽礼装はバッグがポイントだったりもします。佐賀錦や、いかにも礼装用のおとなしいハンドバッグというより、洒落たクラッチなどを合わせるのが好きです。
パーティはクラッチでしょ、というまったく個人的な好みなわけですけれど……。

最後、最重要ポイントは頭ですね。
樺澤さん、佐藤さんがヘアについて語っておられましたが、まったくそのとおり。
髪の毛をどうアレンジするかで、着姿の総合点が3割以上アップすると思います。きもの雑誌は、きもののヘアが上手い美容室特集をぜひ組んでほしいなあ。
東京は、京都よりきもののヘアアレンジが上手い美容室が見つかりにくいと思っているのですが、それはわたくしだけが感じている感想なのでしょうか。

なんだか話が散漫になってきましたね。結局、わたくしは半喪服や喪服の礼装についてはお話しをしそびれてしまいました。またいつかそういう機会が訪れたらと思います。

それでは次回の樺澤さんより、12月の企画テーマ「染めと織り」についてはじめたいと思います。



COMMENT
年末で皆様お忙しいのでしょうか。
更新が減っていらっしゃるようで、ファンとしては少しさびしいです...。
Posted by ゆずき at 2009年12月12日 09:43
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