date: 2009年11月13日

subject: 礼装遍歴 〜きもの好き以前

from: 佐藤文絵



植田さん、礼装講座をありがとうございました。本当に勉強になります。ご家族で撮影されたスナップも素敵でした。晴れやかに、厳かに黒留袖や振袖を纏った親族が並ぶ結婚式の光景には、日本の正しい礼装の姿を思い、いいものだなあと眺めています。

今月はただただお話をきいていたい気分なのですが、植田さんも、礼装に関して私はかなり保守的だと自覚している、どうぞ和らげて、とおっしゃっていました。正統派の第一礼装には憧れもあるけれど、私はもっぱら略礼装のみでいくつもの結婚式に出席してきました。

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記憶が正しければ振袖を着たのは成人式の一日だけ。第一礼装を纏った唯一の日です。従姉妹の振袖を着せてもらいました。桶絞り・鹿の子絞りと友禅、刺繍が施された古典的な振袖で、今思えばなかなか素敵なきものです。でも当時は特にきものに興味がなく「この色はあまり好きじゃない」なんて思っていました。ナマイキ(笑)。それにしても二十歳の写真なのに、私は今とあまり変わっていないような...。


娘のためにきものを用意するという意識が希薄のわが家には、私専用のきものは一枚もなかったのですが、大学生活が終わりに近づくころお茶のお稽古に通い始めたのをきっかけに、付け下げ訪問着を作ってくれました。分からないなりに百貨店でたくさん見せてもらって誂えた一枚はとても気に入って、これまで何度も袖を通してきました。今でも活躍しています。

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柄が絵羽付けになっている付け下げ訪問着は、一見訪問着と変わりません。共八掛がないことが唯一の違い。一般的な訪問着より少々柄付けが控えめかもしれません。


このきものには縫いの一つ紋を入れています。きもの好きになるまでは、いとこの結婚式、友人の結婚式、大学の卒業式(袴をはいて)、初釜など、この一枚で乗り切ってきました。教科書的には略礼装だけど、自分にとってはこのきものが第一礼装だったのです。

結婚式でいえば、黒留袖の方がずらっと並ぶような厳粛な式に出席したことはありません。でもこの略礼装を「軽すぎた」と感じることは一度もありませんでした。むしろ黒のワンピースにひらひらシフォンのショールなどを身につけるスタイルが多いなかで、きもの姿はまずご両親に喜ばれるし、きちんと礼をつくしていると思ってもらえるように感じています。

ところでお2人ともに書かれていたとおり、結婚式のスタイルは本当に多様化してますよね。神社で式ののちホテルで披露宴、ホテルのチャペルで式と披露宴、ゲストハウスで人前結婚式、牧師さんに来てもらってレストランで式&パーティ、会費制のガーデンウェディング・・・などなど。結婚式のスタイルによって、また結婚式とはどんな方々が集まるのか分からないために、軽すぎるかな、重すぎるかな、大丈夫かな、と常に頭を悩ませるものです。セオリーどおりの装いは却って大仰しく、浮いてしまうこともありますしね。

かくいう私も、自分の結婚式ではゲストを悩ませていたかもしれません。親族だけでなく友人たちも神社での結婚式に招待しました。式のあとはレストランで立食パーティ。最後に料亭で親族だけの食事。格式があるような、ないような。――困りますよね(笑)。
友人たちはなかなか変わり者が多いので、きっといろんな格好で来てくれるだろうと想像していました。実際のところじつに幅のある装いで、楽しかったです。洋服姿の方は礼服ありスーツありジャケットあり。きもののほうは両母親は黒留袖、実姉はなんとも分類しがたい個性派なきもの、義妹は結城紬の訪問着。友人たちは訪問着、小紋、無地紬の方も。

思い返すと、「きものというと結婚式くらい」という方は無難に訪問着系、普段からきものが好きでよく着ている方は上手にカジュアルダウンして参列してくれていたと思います。小紋や色無地、無地紬などを儀式の場にふさわしく、お祝いの場らしく装うには、ある程度の力量が必要。慣れぬ着姿ではうるさがたの視線が刺さりそうですが、慣れた着姿なら、わかっていてこの装いなのね、今様の着こなしね、とそんな視線をはねのけます。いや本当にカジュアルダウンは経験とセンスが問われるものだと思います。その点先日樺澤さんが紹介してくださった着こなしはさすが!

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神社での結婚式のあとに参列してくださった全員で撮った写真です。こんな小さな写真ではわからないかな。色とりどり、個性的です。それぞれ自分らしく装ってくれていたと思います。装いに無頓着な方もあったと思いますが。
びしーっと黒で揃えたなかに真っ白の花嫁さん、という光景は文句なく美しい。けれど、わたしにはこんなふうな和やかな雰囲気がとてもいとおしかったです。


さて結婚というと、昔は(いや今も家により地域により)家具やきものを一式揃えてお嫁入りするものだったとききますが、以前畳紙(文庫紙)などを扱うお店でこんな紙をもらいました。「お嫁入り和箪笥の詰め方」マニュアルです。
こんなふうに揃えたのか、こんなふうに揃えるのが理想の形だったのかと、とても新鮮でした。一番上の棚の寿アルバム、免状箱、というあたりもなかなか楽しいのですけど、箪笥のほぼ半分が「礼装ゾーン」なのですよね。私の箪笥には小物入れはなく8段なので、この和箪笥と正味同じ。でも礼装といえるきものが収まっている引き出しは1.5段くらいです。

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ここに書かれている礼装のうち、私の箪笥に入っているのは、付け下げと一ツ紋無地着物(袷と単衣)の3枚だけ。将来的に黒留袖が入る日がくるのかしら。う〜ん。どうでしょうね。私はおそらく親になり子の結婚式を迎えるまで「黒留袖」を考えるきっかけは訪れないと思います。私は三人兄姉の末っ子。加えて両親も三男&末っ子だから、いとこたちのなかでも一番下です。いわば末っ子of末っ子なんですね。ゆえに留袖とは縁遠い。もしかしたら一回きりかもしれないきものを何十万円かけて用意するというのは、あまり現実的ではない気がします。植田さんはおそらくお父様もご長男かと思いますのでいわば長女of長女。なんて対照的な(笑)。植田さんの留袖は何度も着てもらえて素晴らしいな。


今日は“きもの好き”になるまでの私の礼装についてお話しました。次は最近の礼装についてお話ししようと思っています。
ではでは、植田さんの略礼装講座をまた楽しみにしております。


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