date: 2009年11月08日

subject: 友人の結婚式での、今どきドレスコード

from: 樺澤貴子



植田さんの礼装講座、本当にいつもながら勉強になります。私自身はまだ黒留袖を着た事がありませんが、「非日常的な粛然とした気持ち」を、いつか味わってみたいものです。このブログでは次女役ですが、実際は3人兄弟の長女なので、妹と弟の結婚式にそのチャンスがあることを願って・・・・・・。

さて、現実的に私達の生活の中で礼装を意識するシーンの代表といえば、やはり結婚式ではないでしょうか。植田さんが結婚式の主催者側の装いについて書いてくださいましたので、今回は招かれる側の装いについてお話したいと思います。

本来、友人の結婚式に招かれた場合には、ルールからいうと未婚女性なら振袖か訪問着。既婚女性なら色留袖や五つ紋付きの色無地、訪問着というのがセオリーですよね(準礼装としての色留袖や訪問着、付下げについては次回に植田さんが解説してくださるので素通りします〜)。ですが、一言で結婚式といっても、昨今では洒脱なレストランウエディングから料亭での会食形式、格式を大切にしたホテルでの披露宴など、バリエーションに富んだ形態があります。そういった意味でも、招かれる方のきもの姿も多様化しています。

私も「多様化」の例に漏れず、ルールはわかっていながらも、フォーマルに括れない出で立ちで結婚式に列席しています。正統派の着こなしは長女にお任せして、「今どきの結婚式なら、こんなスタイルもありでは?」というエピソードをお届けします。

〔1.華やか小紋にお祝いの気持ちを込めて〕
最初のエピソードは、数年前にホテルでの披露宴に招かれた時のこと。きもので出席して欲しいという友人のリクエストに応えようとワードローブと向き合ったものの、色留袖や五つ紋付きの色無地など持っているはずもなく、訪問着はブルーグレーや黒地など濃地しか見当たりません。留袖の黒は儀式に相応しい格調の高さや、厳かな印象をもたらしますが、私の持っている訪問着の黒は、「粋」な表情が勝ち、「個性」が前に出てしまうというか、悪目立ちしてしまう感があります。
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宝尽くしの刺繍なので、柄行きは可愛らしいはずなのに・・・・・・誂えた後で黒地の訪問着はつくづく難しいと感じています。


また、結婚式では親族は黒留袖、男性もほとんどが黒尽くめ、洋装の方も黒のドレス姿の方が目立ちます。以前、マナーの先生に「お友達の結婚式で華やかな色を纏うことは、新婦の友人としての役割です」と伺った記憶が頭の片隅にあったこともあり、せっかくなら、きれいな幸福感に満ちた色で寿ぎの気持ちを表したいという思いに。

そこで、私が選んだのが「お呼ばれ小紋」「パーティ小紋」として活躍している蘭を描いた付下げ小紋。総柄ということもあって、全身からお祝いの心が溢れ出ているようなきものです。結婚式に小紋というと、かなりカジュアルダウンしているイメージに聞こえるかもしれませんが、この蘭の小紋の場合、描かれている柄行きが古典柄ではなく洋花であることからも、ドレス感覚=フォーマルな印象に映るようです。友人や新婦側のご親族の方からは華やかな色柄を喜んでいただけました。ご親戚の方は黒留袖か訪問着でしたが、新婦の友人は私のほかにも小紋や付下げなど軽めのきもので列席している方がいらっしゃいました。「格」は抜きにしても華やかなきもの姿で友人をお祝いしたいという気持ちが、周囲の目にも好意的に映っていたのでは?と、我が身の言い分も含め、勝手に解釈しています。
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コーディネートは格にこだわりすぎず、上品に見えることを心掛けました。左:同系色の龍村織物の織り名古屋帯を合わせて、甘めの雰囲気にまとめました。右:様々な書体で「寿」の文字をあしらった金地の袋帯で、お目出度い気持ちを演出。



〔2.きれい色に帯の格で端厳さを映して〕
場所によっては、蘭の小紋では浮いてしまう・・・という場合は、きものは色無地(または無地感覚の小紋)にして、格のある帯で礼を尽くします。3月の「おでかけきもののTPO」のテーマで、佐藤さんが淡いピンク色の無地の結城紬に唐織の帯を合わせてお友達の結婚式に出席されたエピソードがありましたが、それと同じような感覚です。友人という立場として出席するなら、帯を主役とした無地のコーディネートは「あり!」だと、私は思います。その際に大切なことは、きものの地色ではないでしょうか。佐藤さんの紬の色しかり、私もサーモンピンクや柳色など、「柔らかな色を纏う」とこで、お祝いの席を清々しく、優しく包み込んでくれるように思います。個人的な好みかもしれませんが、皆さんはいかがでしょう?
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左:一つ紋付きのサーモンピンクの無地暈しに、唐織の袋帯。
右:何かと登場している柳色の蛍絞りの小紋は、無地感覚のきものとして用いることが多々あります。存在感のあるアンティークの捻梅の綴れ帯を合わせて。



〔3.小物あわせも大切〕
礼装の際には、帯揚げは白の絞りか綸子、帯締めは白地に金銀模様か、金や銀一色のものというルールがあります。普段はビビッドな色を帯締めに効かせたコーディネートが好きな私ですが、結婚式などのお祝いの席では、白をベースにした小物合わせを心掛けています。ルールを念頭においていることもありますが、白という色には、特別な心地よい緊張感があります。
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礼装用の小物を持っていませんので、普段使いのなかでも、これらは、晴れの日にも便利に活躍しています。
左:白地に赤の飛び絞り、生成り地にピンクの絞り、白に近い淡いピンクの帯揚げが、お祝いの装いでの定番。
右:白、赤の冠組は、房の部分が紅白になるようにして誂えたもの。銀の佐賀錦、白×金糸×若松色のグラデーションの帯締めなども重宝しています。



〔4.今後欲しいフォーマルなアイテムは・・・〕
植田さんが『美智子さまのお着物』(朝日新聞出版社)をご紹介くださいましたが、フォーマルな装いを考えたときに皇室の方々の上品な着物姿は、参考になりますよね。とっても目の保養になりますが、でもやっぱり私には敷居が高いというか、私らしい装いとは少し違うように感じてしまいます。<礼装とは個人の感情や好みとは別の次元のもの>という定義からは、完全に思考が逸脱していますが(笑)。

そもそも、フォーマルのシーンが少ないがために、これまでは「フォーマルに見えるもの」で代用してきましたが、そろそろ年齢的にも自分らしい訪問着が欲しいと思うこの頃。とはいえ、何枚も訪問着を誂えるお財布の余力も、箪笥の余裕もありません。古典柄は大好きなのですが、王道の「ザ・古典」というデザインやコーディネートではなく、古典をベースにしながらも色合いや柄付けにモダンさがあり、帯によって軽やかにも着られる幅の広い訪問着に興味があります。

そこで私が参考にしているのは、歌舞伎役者の奥様方の装いです。ご贔屓のお客様の手前、華やかすぎず、かといって地味にならない。古典柄もこってりしすぎず、ほどよく控えめで上品な訪問着姿を雑誌の誌面や劇場でよく見かけます。透明感のある地色に、あっさりとした古典柄を描いた訪問着に、近い将来に出会えることを夢見ています。
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松本幸四郎夫人である藤間紀子さんの『私のきもの生活』(文化出版局)には、憧れのきものが沢山載っています。『京都で、きもの vol.5』(淡交社)のお誂え特集にて取材した、中村芝雀夫人の大冨玉緒さんは、可愛らしい古典柄を基調としながらもひと色抑えた引き算の表現が絶妙でした。


「礼装」というテーマからすると、かなりハードルの低い内容になってしまいましたが・・・・・・佐藤さんのリアルなフォーマルStyleはいかがですか?


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