date: 2009年07月17日

subject: 麻きもの偏愛

from: 佐藤文絵



植田さん、樺澤さん、浴衣のお話をありがとうございました。その後間が空いてしまいごめんなさい。
さて、まずはお茶のお稽古に着る浴衣。今ちょうど疑問に感じていたことのひとつでした。“夏に着る木綿のきもの」という感覚で選ぶ”、“具体的には綿絽以上の浴衣”との言葉に納得です。
二年前に作った有松鳴海絞のゆかたは「きもの的に着よう」と広衿で仕立てました(お二人ともおっしゃるとおり、衿元がふっくらして、きものらしくなりますね。はだけにくくなるのも嬉しい)。ではこれに紗献上などの名古屋帯を合わせてお茶のお稽古に――。コーディネイトして思案したものの、どうもピンときませんでした。

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左=浴衣というよりきものとして着ようと作った有松鳴海絞。絞りといっても鹿の子絞りのような凹凸のないもので、板締めという技法“雪花絞り”で作られたものです。生地はおそらく柔らかめのコーマ地。右=雪花絞りの浴衣は、一昨年は雑誌『七緒』の表紙で見かけました。今年は「金麦」の広告で壇れいさんが着てらっしゃいます。想像するに有松の張正が製作されたものではないかと思います。この写真は張正さんへ取材に出掛けた際に撮らせてもらったもの。張正の浴衣は複数の呉服店が扱っていると思います。例えば京都のSOU・SOUにはこんな浴衣が。


白&ブルーの色合いは、やはり浴衣度が高いよう。どうもカジュアルすぎるなあと気がひけてしまいました。もっともひとくちにお茶のお稽古といっても、先生の考え方、お稽古場の雰囲気によるところが大きいと思います。だからこれはあくまで私の感覚です。
プラス、少し気になったのは、昔の感覚では雪花絞りは“おしめ”を連想させるのだとか。おしめによく雪花絞りが用いられていたのですって。ある年齢の方からみたら「あら、おしめを着て」なんて思われてしまうのかも…(笑)。もちろん「そんなふうに着ると素敵ね」と考えを改めてもらう機会になるかも知れません。だけどちょっとリスキー。普段は堂々と誇らしく着ていますが、妙齢の方々とも同席する場では控えようかなという気持ちになります。

私の手持ちの浴衣は、コーマ地と有松鳴海絞だけ。絹紅梅や綿紅梅は気になりながらも、これまで縁がありませんでした。気軽に着られて、自分でお洗濯ができ、きちんと見える“お稽古浴衣”があったらいいなあ。「いずれほしいものリスト」に追加です。ブルー系を外すと、浴衣らしい浴衣と区別できて、より良いかもしれませんね。
といいつつ、樺澤さんの紺白コーディネイトは素晴らしいの一言! 楽しそうな情景が目に浮かぶようでわくわくします。私はお祭りなど、いかにも夏らしい場面以外ではあまり着ることがなかったけれど、樺澤さんを見習って、もっと自由に楽しみたいと思いましたです。


ところで私のきもの熱が本格的にはじまったのは、夏でした。はじめて自分であれこれ選んでひと揃えができたのが夏きもの。思い返せばそれは6年前の夏。2003年の『きものサロン 夏号』は思い出深い一冊です。「こんなのがいいなあ」「これはなにか違う」「こんなのもいいなあ」・・・想像を膨らませながら、食い入るようにページをめくりました。最も長い時間眺めた雑誌かもしれません。おかげで本棚のきもの雑誌のなかでも、いちばん傷んでいます(笑)。

和服洋服を問わず、麻が大好きな私の夏のワードローブは、おのずと麻ばかりになりました。蒸し暑いニッポンの夏。風通しがよく、湿気を吸収してくれて、肌心地の冷ややかな麻は何ものにも代えがたいもの。しかも自分でじゃぶじゃぶ洗えるのが最高です。


[縮]
麻の縮といえば、小千谷縮が代表格。撚りのある糸で織り上げ、最後に湯揉みという仕上げをすることで独特のシボが生まれるのだそうです。肌への接着面が少なく、通気性はばつぐん。シボのおかげでアイロン要らずなのが有難い。買いやすいお値段も嬉しいところ。涼しく、メンテナンス楽々、お値段かわいい――とくれば、1st夏きものに一押しです。唯一の欠点をいえば、ハリがあるから生地が身体に添わず、いわゆる“ヤッコさん”になりやすいこと。だけどこれは涼しさを得るならある程度仕方なし。トレードオフですね。

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左=数日前のお茶のお稽古に着ていった格子柄の小千谷縮。もともと麻には伸縮性がないけれど、小千谷縮はシボがある程度の負荷を吸収してくれるようです。右=アンティークで買い求めた縮(産地は不明)と、知り合いから譲り受けた生平(きびら)とおぼしき無地の麻きもの。この3枚は浴衣感覚です。


[上布]
宮古上布、八重山上布、越後上布、能登上布…。どれも麻きものの最高級品。“上布”の響きには無条件でうっとりしてしまいます。この名はもともと献上布であったことを示すもの。繊維の細い苧麻(=からむし)を使い、薄く繊細に織り上げた布は“蝉の羽”にたとえられます。宮古上布などは本当に薄く繊細だから、麻でも“ヤッコさん”にはなりませんね。

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おそれおおくも縁のあった宮古上布。庶民なのにごめんなさい、という気持ちで着ています。どちらもアンティーク、対丈で着ている旨を以前にお話しました。その後胴継ぎを計画中です。



そんなことで、麻きもの偏愛の私は、ぺっとり肌に添うときく「絽のきもの」に苦手意識をもっています。だけど絹ものも必要。植田さん、樺澤さん、いかがなものでしょうか。これはただの食べず嫌い!? しゃり感があるから涼しそうな夏御召や夏紬にも興味津々。夏の絹もののお話、きかせてくださいね。

今日はお洗濯のお話もしたかったのでした…。が、これはまた改めて。


追伸:祇園祭まっさかりの京都です。今日の山鉾巡行は逃したけれど、山や鉾の立ち並ぶ室町界隈を歩きました。祇園祭は和装小物のセールがちょこちょことあって、きもの好きとしては嬉しいオマケがあります。今年は腰紐を3本という地味な収穫でしたが、山鉾を飾る美しい絹織物に目が癒されました。

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COMMENT
お洗濯の話とありましたので・・

黒や濃紺の浴衣はお洗濯のたびに少しずつ色が薄くなってしまいませんか?
白っぽくなるというのでしょうか。
色を復活させる方法はないと思うのですが、お洗濯についてのアドバイスなど、次回のお話楽しみにしております。
Posted by 雪輪 at 2009年07月19日 19:42
洋服でも同じですけど、濃い色のものは、少しずつ白っぽくなってしまいますね。おそらく水洗いの宿命なのでは。それを避けるにはドライにするしかないような気がします...。
そんなことも含めて、またまとめて書きますね。
Posted by 佐藤文絵 at 2009年07月21日 10:47
雪花絞りはおしめを思い出しますね。私は高校生までしっかりおしめを当てていました。だから雪花絞りのおしめが懐かしいです。恥ずかしいですが雪花絞りのおしめが大好きです。
Posted by 田中俊治 at 2014年06月10日 23:29
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