date: 2009年07月10日

subject: お茶のお稽古に着る浴衣

from: 植田伊津子



佐藤さん、肌着のお話をありがとうございます。
表ではいかにも涼しい顔をしたいものですから、夏は肌着にこだわらずにはいられませんよね。いろんなタイプがありますけれど、私も「あしべ織汗取り」を5月ぐらいから愛用しています。夏はこれがないと外に出かけられませんので、洗い替え用も常備しているんですよ。胸の補整もできて便利な一品ですよね。

さて、「きものBASICルール」をお読みの皆さんはよくご存じかと思いますが、今日はまず浴衣生地の主立った種類について軽くおさらいをしておきたいと思います。

[コーマ地]
コーマ糸を使った平織りの綿生地。はじめはハリがありますが、洗濯を繰り返すと、くたっとやわらかくなります。白・藍の注染のコーマ地の浴衣はもっとも浴衣らしいものといわれています。価格は比較的抑えめ。

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樺澤さんがお持ちのコーマ地の浴衣です。乱菊は竺仙。白地はとある呉服店で誂えたものだそうです。波に舟と花の柄行きがちょっとクラシックで、可愛らしいですね。


[綿絽 めんろ]
綿生地で絽目があるもの。コーマ地より少しだけ上クラスの扱いなので、ちょっとしたお出かけや軽めの会食にも使えます。半衿ありのきもの風でも、半衿なしの浴衣風にも、どちらにも使えます。ただ絽目があって透けますから、下着に要注意。

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少し細かい絽目です。


[綿紅梅 めんこうばい]
太細の綿糸で格子状の畝(うね)を表したもの。格子の骨、地部分とも木綿。糸の凹凸組織が生地にハリを与えているため、サラリとした肌感触になります。綿絽よりやや格上の扱いをします。これも半衿ありのきもの風でも、半衿なしの浴衣風でも。綿絽以上に透けます。

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三越でつくった少し古いものです。浴衣なのに鮫小紋なのがめずらしかったので求めました。


[絹紅梅 きぬこうばい]
綿紅梅にそっくりな見た目ですが、格子の骨に当たる糸が綿で、地部分が絹なのが絹紅梅です。綿紅梅より繊細で上等ですから、長襦袢に半衿+足袋という着こなしがポピュラー。きものっぽい小紋柄や、最近は訪問着風の絵羽付けのものもあります。
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伊勢由の今年の新柄。樺澤さんが説明されたとおり、こちらの浴衣柄は粋というよりもおっとりしている感じ。どこか可愛らしい味わいが女性をやさしく見せてくれます。また数もたくさんつくられませんから、その点もうれしいですね。



その他、単衣の時期から着られるやや地厚な奥州小紋、夏きものそのものといってよい高級な麻100パーセントの麻小紋、昔ながらの絞り、無地系統の小千谷縮綿麻縮などもあります。
これらの説明が、書店に並ぶきもの雑誌の夏号には毎年出ていますので、詳しくはそちらをご覧になってください。


さて先月の私は、いろんな方たちから、はじめての浴衣選びについて相談を受けました。なかなか面白かったので、その応答を公開したいと思います。質問をした方は、いずれもお茶のお稽古をしている人たちなので、だいぶんお茶のきもの寄りの内容です。
お茶のシーンのきものにご興味のない方でも、一般的な浴衣選びのヒントにもなるかと思いますのでご一読いただければ幸いです。


Q お茶のお稽古に浴衣を着てもよいでしょうか?
A 暑いですもん。もちろんOKですよ。浴衣であっても「きもの」を着てお稽古をしようという気持ちが大切ですから。最近はいろんなタイプの浴衣があって、結構あらたまった感じもありますから、「夏に着る木綿のきもの」という感覚で選んだらよいでしょう。

Q その場合、どんなものを選んだらよいでしょう?
A 20代後半から上の年代の方なら、綿絽以上の浴衣がよいと思います。具体的にいえば、値段的がこなれているのは、綿絽、綿紅梅、綿麻縮などでしょうね。これらは反物代が2〜4万円前後で、お仕立代を入れて総額4〜6万円ぐらいです。絹紅梅は反物だけで7〜8万前後、それにお仕立て代を入れると10万ぐらいになりますから。

Q 今挙げた中でも、植田さんがとくにおすすめするのはなんですか?
A それはもう好みになっちゃうのですが、私自身はガタイが大きいため、結構気になるのが、綿紅梅や絹紅梅の紅梅系。麻のきものと同じく肌につかないハリのある生地のため、着用するとヤッコさんになって、より身体が大きく見えるように感じます。正座をして立つと、ハリのあるシワによって、数センチは上がりますしね。綿絽のほうが、若干やわらかく身体に添う感じです。ただ、その分、紅梅のゆかたより暑いですけれど。
自分の譲れないポイントが暑さならば、綿紅梅の涼しさをとったらよいですし、すっきり見えるほうを優先するなら綿絽でしょうか。
小千谷縮や綿麻縮は、男性の浴衣によく使われているように無地や格子が中心です。30代前半〜の女性が無地感覚の縮を着ると、よほど帯とヘアスタイルに凝らなければ老けて見えるように感じます。柄物のほうが悩まないで着られるかもしれません。

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一昨年につくった綿麻縮。シンプルな黒が着たくて、めずらしく渋めを選んだのですが、着こなしに苦戦しています。さらりとした弱い感じの帯では、10歳ほど上に見えるのです。ヘアもただ単にまとめただけだと、かなり寂しいんですね。派手でおもしろい夏帯を探しています。


絞りの浴衣は、もともとシワがありますから、正座をしてもシワが目立ちにくいのでお茶の浴衣におすすめ。ただ絞りの浴衣ってクラシックな感じがして、ひと昔風の着こなしに見えたりすることがあります。おしゃれな絞り選びがポイントになりますね。

Q どんな色柄を選んだらよいですか。
A 浴衣はにぎやかな柄が多いですが、品のよいものが茶席には落ち着きます。浴衣らしいといえば、紺白のツートンカラーでしょう。ただし、総じて白地が目立つと「夜に着る浴衣(お祭り浴衣)」っぽくなりますので注意してください。お茶のお稽古に使うなら、あまり白くないものがよいと思います。

またきものと同様、大柄の人には大きな柄が映えますし、背の小さい人は小柄のほうがお似合いになります。顔の造作が濃いめの方は、紺白でも紺がパッキリとしたメリハリの強い色がおさまりがよく、やさしい顔立ちの方は、中間色から薄めの紺色のほうがよいかと思います。紺といっても明彩度いろいろありますから、反物を肩にかけて、顔映りを見てください。

Q 仕立て上がり品と、反物から仕立てるのはどちらがよいでしょう。仕立てる場合の注意点も教えてください。
A 予算が許すなら、自分サイズに反物から仕立てるほうが、きれいに着られます。また襦袢をつけてきもの的に着たい方は「広衿仕立て」に。ふつう既製品の浴衣はバチ衿。バチ衿の利点は着やすさです。広衿は衿元がふっくらするので、少したおやかな感じになりますね。またこちらのほうがバチ衿より深く胸元を押さえて交差する構造ですから、多少着くずれにくくなります。私の浴衣は広衿仕立てにしています。

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広衿仕立ては、付属品の衿裏代もふくめ、バチ衿より仕立代が少し余計にかかります。


また長襦袢に居敷当てがないときは、透ける浴衣生地には居敷当てをつけたりもします。綿絽・綿紅梅にも居敷当てをつける方はいますが、私は長襦袢に居敷当てをつけていますから、浴衣にはつけません。ただ絹紅梅はきもの扱いをしますから、これはつけますね。

Q 衿と足袋は要りますか?
A ふつう浴衣は裸足に下駄ですが、お茶のお稽古の場合は足袋が要ります。裸足で茶席に出入りするのは、夏でも遠慮してください。半衿をつけた長襦袢を着る・着ないはお好みです。けれど、足袋を履くなら衿もつけたほうがはきれいに見えるでしょうね。
それに浴衣に足袋を履いた着こなしなら、下駄だけでなく草履を使っても構いません。
さて、浴衣に合わせる長襦袢は、本麻か紋紗、海島綿がよいと思います。絹の絽でも悪くはありませんが、浴衣には少しナヨナヨします。いちばん涼しいのは本麻で、簡単にするなら2部式仕様を。バチ衿付きの半襦袢に衿をかけて、ステテコや裾除けを用いるのもよいですね。
浴衣につける衿は、ふつうの絽でもOKですし、綿のきものなので麻の衿でも素敵です。

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小千谷縮の本麻衿。浴衣だけではなく、上布や夏大島などの織りのきものにも合います。ただやわらかものには麻ではない絽の半衿がよいでしょう。


Q 帯は半幅帯がよいですか? なごや帯ですか?
A お茶の場面では半幅帯をほとんど使わないですね。文庫にすると、あちこちの壁に当たりそうになるからだと思いますが、もし半幅を用いるならかさばらない結び方「貝の口」「矢の字」「かるた結び」などがよいと思います。使ったらダメということではないです。
一般的に浴衣のお茶のお稽古は、なごや帯のほうが多いかもしれませんね。たとえば紗献上の博多帯などが一本あれば、お茶の浴衣によく合います。浴衣に合わせるなごや帯は、あまり大げさでない軽い印象のものがしっくりくるのです。
ですからまず袋帯は除きます。絽の凝った染め帯や紗のすくいの帯、絽綴れ、羅などは、本格的な夏のきものに似合うものですね。
ところで、浴衣に締めるなごや帯のお太鼓は、心持ち小さめのほうがおさまりがよいものです。

Q 浴衣を着るときには補整したほうがよいですか? どのようにして補整をすればよいですか?
A 浴衣こそ補整が必要。ああいう薄手のきものは身体の線が出やすいですし、浴衣は補整をしないと少し動いただけですぐに着くずれます。胸の凸凹を抑えるための方法は、さらしを巻くか、和装ブラジャー、スポーツブラ、あしべ織汗取りをつけるとよいでしょう。それにウエストにタオル、お尻の上の腰骨のくぼみもなだらかにしたいですね。
浴衣を取り扱うサイトでは補整具をいろいろ売っていますから、それを購入してもよいでしょう。それらはもちろんきものにも使えます。

他の質問もあるのですが、今日はこんなところでバトンタッチ。


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